自己推薦書の書き方と例文|大学受験の構成・書き出し・語尾まで解説

※この記事には一部PRが含まれます。
自己推薦書は、実績を並べるだけの書類ではありません。
高校生活の中で何を考え、どのように行動してきたのかを、自分の強みと結びつけて伝える文章です。
「目立つ実績がない」「何を書けばいいか分からない」と悩んでいても、材料がないとは限りません。
この記事では、経験の選び方から構成、書き出し、例文への置き換え方、語尾の整え方まで、実際に書き進められる順番で解説します。
記事のポイント
- 自己推薦書に何を書くかがわかる
- 書く経験の選び方がわかる
- 書き出しと語尾の整え方がわかる
- 例文から自分の文章に直せる
大学受験の自己推薦書には何を書く?基本5要素

大学によって設問や求める内容は異なります。
そのうえで、私が自己推薦書の添削で確認していたのは、次の5点です。
- 強みの軸
- 具体的な経験
- 本人の行動・工夫
- 結果と学び
- 大学での活かし方
この5点を意識すると、「何を書けばいいのか分からない」という状態から、文章の骨組みを作りやすくなります。
最初に自分の強み・資質を一つの軸に整理する
自己推薦書を書き始める前に、「何を軸に自分を伝えるか」を決めます。
継続力、課題発見力、協調性、調整力など、候補はいくつあっても構いません。
思いついた長所をすべて並べると、読み手から見て人物像がぼやけやすくなります。
強みを絶対に1つだけにする必要はありませんが、まず中心となる軸を1本置いてください。
私が添削相談を受けていたときも、最初に見ていたのはこの部分でした。
中心軸が決まると、「この経験は残す」「これは今回の文章では削る」という整理もしやすくなります。
強みを裏付ける具体的な経験や出来事を書く
次に、その強みを裏付けられる経験を選びます。
ここで見るのは、実績の大きさだけではありません。
大学の設問に合っていることを前提に、「自分が何を考え、どう動いたか」を説明できる経験かどうかがポイントです。
全国大会への出場歴がなくても、練習方法を見直した経験や、苦手科目への取り組みを変えた経験は候補になります。
逆に、結果は華やかでも、自分が果たした役割や工夫をほとんど説明できない場合は、自己推薦書の中心材料として使いにくいことがあります。
「この出来事で、自分のどんな強みを説明できるか」と考えてみてください。
課題に対して自分が考え行動したことを書く
経験を選んだら、その中で何が課題だったのか、自分はどう考え、何をしたのかを書きます。
「努力しました」「頑張りました」だけでは、本人らしさまでは伝わりません。
例えば、
- 何がうまくいかなかったのか
- 原因をどう考えたのか
- 自分で何を変えたのか
- 周囲にどのように働きかけたのか
まで掘り下げると、行動の背景が見えてきます。
自己推薦書では、結果だけを並べるよりも、「その結果に至るまでの自分の判断」を言葉にすることが大切です。
経験から得た学びや自分自身の変化を書く
行動の結果だけで終わらせず、その経験を通じて自分がどう変わったのかまで振り返ります。
「大会で入賞できた」「成績が上がった」という事実だけではなく、
「一人で抱え込まず周囲に相談するようになった」
「感覚ではなく記録をもとに改善するようになった」
など、自分の考え方や行動の変化を言葉にしてみてください。
この部分があると、経験が単なる実績紹介で終わらず、「その経験から何を身につけたのか」まで伝えられます。
自分の強みを大学でどう活かすかにつなげる
最後は、その強みや学びを、大学でどのように活かしたいのかへつなげます。
教室長時代の添削でよく見たのが、高校生活の話を詳しく書いたあと、最後だけ突然「だから貴学で学びたい」と結ぶ文章です。
これでは、高校での経験と大学での学びの間に距離があります。
調整力を軸にしたなら、「ゼミやグループ研究で、多様な意見を整理しながら研究を進めたい」とつなげる方法があります。
志望理由書のように大学の魅力を詳しく書く必要はありません。
自己推薦書では、「これまでに培った自分の強みを、入学後にどう活かしたいか」という範囲でつなげると整理しやすくなります。
自己推薦書を書く前に募集要項と書類の役割を確認する

自己推薦書には一般的な書き方がありますが、それより優先すべきなのが志望大学の募集要項・指定様式・設問です。
書き始めてから大きく直すことにならないよう、最初に条件を確認しておきましょう。
大学の募集要項・指定様式・文字数を最優先する
自己推薦書の形式は、大学・学部・年度によって異なります。
文字数が決められている場合もあれば、指定用紙に記入する形式もあります。
提出方法や記入方法について指示が設けられているケースもあります。
「自己推薦書は○文字書けばよい」と一律には決められません。
文字数が指定されている場合も、「何割埋めればよいか」という一般的な目安より、まず大学・学部の指示を優先してください。
確認したいのは次の項目です。
- 指定様式の有無
- 文字数・行数
- 設問
- 記入方法
- 提出方法
- 対象となる活動期間
募集要項は年度によって変更されることがあります。
必ず自分が受験する年度の公式情報を見てから書き始めてください。
設問から大学が自己推薦書で求める内容を確認する
同じ「自己推薦書」という名称でも、大学によって問われる内容は同じではありません。
自己の強みや経験を中心に求める場合もあれば、これまでの探究活動や学びとの関係まで問われることもあります。
そこで、最初に設問を一文ずつ読んでください。
「自分の長所を書けばいい」と決めつけて一般的なテンプレートに当てはめると、文章としては整っていても、設問に十分答えていない原稿になることがあります。
先に設問を確認し、その質問に答えるためにどの経験を使うかを考える順番にすると、内容がずれにくくなります。
自己推薦書・志望理由書・活動報告書の役割を分ける
総合型選抜や学校推薦型選抜では、自己推薦書とあわせて志望理由書や活動報告書を提出する場合があります。
私が教室長として複数の書類を指導するときは、「その書類で何を主役にするか」を分けて考えていました。
| 書類 | 主役 | 同じ部活動経験を使う場合の切り口 |
|---|---|---|
| 自己推薦書 | 自分自身の資質・強み | どう考え、どう行動したか |
| 志望理由書 | 大学で学ぶ目的・動機 | その経験から生まれた学問への関心 |
| 活動報告書 | 活動・実績 | 活動内容、役割、結果などの事実 |
これは、私が指導時に整理していた考え方です。
実際の書類名や求める内容は大学によって異なるため、募集要項の設問を優先してください。
同じ部活動の経験を複数の書類で使うこと自体が問題なのではありません。
書類ごとに何を伝えるかを変えることがポイントです。
志望理由書そのものを作成する場合は、志望理由書800字の例文|構成・書き方・1000字との違いで、経験から大学での学びへつなげる方法を確認できます。
活動内容・役割・結果を詳しく整理する場合は、総合型選抜の活動報告書の書き方|構成・例文・活動の選び方で、題材の選び方から文章化まで確認できます。
部活・勉強・学校生活から使える経験を棚卸しする
募集要項を確認したら、高校生活の経験を書き出します。
この段階では、「自己推薦書に使えるか」を厳しく選別する必要はありません。
候補として挙げられるのは、
- 部活動
- 日々の学習
- 資格取得
- 委員会活動
- 学校行事
- 探究学習
- ボランティア
- 友人や後輩との関わり
などです。
「続けたこと」「失敗したこと」「工夫したこと」「頼られたこと」という視点で振り返ると、目立つ実績以外からも材料を探せます。
複数の候補から中心となる経験を選ぶ
材料を書き出したら、中心となる経験を選びます。
私が重視していたのは、実績の大小よりも、その経験について本人の行動を具体的に話せるかどうかでした。
次のように比べてみてください。
- 何が課題だったか説明できる
- 自分の判断や工夫がある
- 行動前後の変化を説明できる
- 自分の強みと結びつく
- 大学の設問にも合っている
該当する項目が多い経験ほど、文章の中心に置きやすくなります。
自己推薦書に書くことがないときの材料の見つけ方

「自己推薦書に書けることがありません」という相談は、教室長時代にもありました。
そのとき私は、派手な実績を無理に探させるのではなく、高校生活の中で本人がどう動いたかを思い出してもらっていました。
長く続けてきた習慣や努力を振り返ってみる
最初によく聞いていたのが、「高校生活で、長く続けてきたことは何?」という質問です。
毎朝の小テスト対策、家庭学習、部活動の自主練習など、本人には当たり前に見える習慣でも構いません。
その中で、
「続けるために何を工夫したか」
「途中で困ったことはなかったか」
まで振り返ると、継続力や改善力につながる材料が見えてくることがあります。
「続けました」で終わらず、その過程に自分らしい判断があったかを探してください。
失敗や壁に直面したときの行動を振り返る
成功した経験だけを探す必要はありません。
私が生徒によく聞いていたのは、「うまくいかなかったとき、何を変えた?」という質問でした。
例えば、
- 試合に出られなかった
- 成績が伸びなかった
- 委員会で意見がまとまらなかった
といった経験でも、その後の対応に本人らしさが表れます。
「失敗した」で終わらず、原因をどう考え、次に何をしたのかまで思い出してみてください。
自分なりに工夫して改善した経験を思い出す
大きな成果がなくても、自分で改善した経験は材料候補になります。
例えば、
- 勉強時間の使い方を変えた
- ノートの取り方を工夫した
- 部活動の練習方法を見直した
- クラス内の情報共有方法を変えた
といった経験です。
重要なのは、「うまくいかなかったから、自分でこう変えた」というつながりです。
自分の工夫が小さく見えても、その理由と行動を具体的に説明できるなら、自己推薦書の材料として検討できます。
周囲から頼られた・褒められた場面を探す
自分の強みは、自分では気づきにくいことがあります。
私は、「先生や友だちから、どんなときに頼られる?」と聞くこともありました。
例えば、
- 後輩から相談される
- グループで意見をまとめる役になる
- 困っている人に気づいて声をかける
といった場面です。
こうした周囲の反応を手がかりにすると、自分では普通だと思っていた行動から、傾聴力や調整力などの強みが見えてくることがあります。
自己推薦書の構成と書き方を5ステップで整理する

材料が集まったら、文章の形にしていきます。
いきなり本文を書き始めるより、「強み→経験→行動→学び→大学」の順に整理してから文章化すると、情報を詰め込みすぎにくくなります。
STEP1 自己推薦書で伝える強みの軸を決める
最初に、文章全体を通じて伝えたい強みを決めます。
候補が複数ある場合も、まずは中心となるテーマを1つ考えてください。
例えば、
- 継続力
- 課題発見力
- 調整力
- 粘り強さ
などです。
「この自己推薦書を読み終えた人に、自分をどんな人物として覚えてほしいか」と考えると、軸を選びやすくなります。
STEP2 強みを説明しやすい経験を選ぶ
次に、その強みを具体的に説明できる経験を選びます。
経験の派手さより、
「自分がどの場面で」
「何を考えて」
「どう行動したか」
を話せるかどうかを見てください。
複数候補があるなら、それぞれについて「自分がどのように考え、どんな工夫をしたかを具体的に説明できるか」と考えてみてください。
説明が具体的になる経験ほど、本文にしたときも説得力を持たせやすくなります。
STEP3 課題・行動・工夫・学びを整理する
選んだ経験を、そのまま思いつく順番で書くと、背景説明が長くなりがちです。
次の4項目に整理してから文章化してみてください。
| 整理項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 状況・課題 | どんな状況で、何が問題だったか |
| 行動・工夫 | 自分が考え、実行したこと |
| 結果・学び | 何が変わり、何を学んだか |
| 大学接続 | その強みを大学でどう活かしたいか |
この前に「強みの軸」を決めておけば、全部で5要素になります。
添削では、背景説明が長くなり、肝心の本人の行動が数行しかない原稿をよく見ました。
状況説明は必要な分だけに絞り、「自分が何をしたのか」に文字数を使ってください。
STEP4 大学での学びへのつながりを作る
経験を書いたら、その強みを大学でどう活かしたいのかへつなげます。
ここで避けたいのは、過去の話と関係なく、最後だけ「貴学で学びたい」と付け加える形です。
例えば、
「周囲の意見を整理する調整力」
↓
「ゼミで多様な意見を整理しながら研究を進める」
というように、強みそのものを大学での行動へ接続すると自然です。
志望理由書の詳細説明まで広げず、自分の強みを入学後どのように使いたいかを示してください。
STEP5 指定文字数に合わせて文章を整える
下書きができたら、指定文字数に合わせて削る部分と深める部分を調整します。
文字数が足りないときは、実績を増やすより、
- なぜそう考えたのか
- 具体的に何を変えたのか
- その結果、自分がどう変わったのか
を掘り下げてみてください。
反対に長すぎる場合は、状況説明、重複表現、強みと関係の薄い実績から削ります。
何割書けばよいかを一律に決めるのではなく、大学の指定に従いながら、必要な内容を過不足なくまとめることを優先してください。
自己推薦書の書き出しと締め方を例文で確認する

書き出しでは「何を伝える文章なのか」を早めに示し、締めでは「その強みを大学でどう活かしたいか」をつなげます。
ここでは説明用のモデル例文を使って確認します。
強みを最初に伝える自己推薦書の書き出し例文
添削でよく見たのは、高校生活の状況説明が長く続き、強みがなかなか出てこない文章です。
強みから始めるなら、次のように書けます。
「私の強みは、課題を見つけ、周囲と協力しながら改善を続けられる点です。」
一文目で軸が分かるため、その後のエピソードも「その強みを裏付ける話」として読みやすくなります。
書き出しに迷ったら、まず「私の強みは〜です」と仮置きし、本文を書いてから自然な表現へ整える方法もあります。
具体的な経験から始める自己推薦書の書き出し例文
経験から始める方法もあります。
例えば、
「文化祭実行委員として準備を進める中で、クラス内の意見が二つに分かれました。私は双方の希望を書き出し、共通点を整理したうえで折衷案を提案しました。」
という形です。
エピソードから入る場合は、状況説明だけが続かないよう注意してください。
このあと早めに、
「この経験には、私の調整力が表れています」
など、経験と強みを結びつけると軸が見えやすくなります。
強みを大学での学びにつなげる締め方の例文
締めは、「入学後も頑張りたいです」だけで終わらせず、強みの使い道まで書きます。
例えば、
「高校生活で培った調整力を活かし、貴学のゼミでも異なる意見を整理しながら、周囲と協力して研究を進めたいと考えています。」
という形です。
大学名やゼミ名を入れること自体が目的ではありません。
自分の強みと、入学後の具体的な行動が自然につながっているかを見てください。
自己推薦書の語尾は「です・ます」「である」どちら?

「です・ます調」と「である調」で迷う受験生は少なくありません。
文体そのものの優劣を決めつけるのではなく、大学の指示と文章全体の統一を基準に考えます。
大学から文体の指定がある場合は必ず従う
募集要項や指定用紙に文体の指示がある場合は、その内容に従ってください。
自己推薦書には、大学ごとに異なるルールがあります。
一般的な書き方より、受験する大学・学部の指定が優先です。
文体だけでなく、文字数や記入方法も含め、書き始める前に最新年度の募集要項を読んでおきましょう。
指定がなければ文体を統一することを優先する
大学から特に指定がなければ、文章全体の文体をそろえることを優先します。
私が添削した原稿でも、
「私は〜と考えています。」
「この経験から〜を学んだのである。」
のように「です・ます調」と「である調」が混在している文章がありました。
このような場合は、どちらか一方へそろえるよう指導していました。
「どちらを使えば評価が高いか」と考えるより、途中で文体が変わっていないかを提出前に読み返してください。
同じ語尾が続く文章は表現を組み替えて整える
文体を統一していても、同じ語尾ばかり続くと文章が単調になります。
例えば、
「毎日練習しました。記録を残しました。課題を分析しました。」
という文章です。
次のように組み替えられます。
「毎日の練習内容を記録し、そこから課題を分析しました。記録を続けたことで、自分の弱点にも気づけるようになりました。」
同じ語尾を何回までにする、といった共通ルールがあるわけではありません。
声に出して読んだときに単調なら、文をつなぐ、主語を省く、表現を組み替えるなどして整えてください。
「思います」の多用は言い切れる表現へ見直す
教室長時代の添削では、「〜と思います」が何度も続く原稿も見ました。
すべて削る必要はありませんが、自分の意志として言い切れる部分まで「思います」にすると、内容がぼやけることがあります。
例えば、
「大学でもこの力を活かしたいと思います。」
であれば、
「大学でもこの力を活かし、グループ研究に取り組みたいと考えています。」
など、具体的にできます。
推測やまだ確定していない考えまで無理に断定する必要はありません。
「思います」を禁止語にするのではなく、曖昧になっている箇所だけを見直してください。
大学受験の自己推薦書例文|自分の経験への直し方

ここから紹介する文章は、実在する受験生の答案ではなく、書き方を説明するために作成したモデル例です。
丸写しするのではなく、「どの部分が強みで、どこが本人の行動なのか」を確認し、自分の経験へ置き換えてください。
部活動の経験から継続力を伝える自己推薦書例文
部活動では、大会成績だけでなく、日々の取り組み方を材料にできます。
【モデル例文】
「私の強みは、課題を記録しながら改善を続けられることです。
高校では3年間テニス部に所属しました。思うように結果が出ない時期に、ただ練習量を増やすのではなく、練習内容と気づきをノートに残すことにしました。
記録を読み返すうちに、フォームが崩れやすい場面が分かり、練習方法も見直しました。この経験から、感覚だけに頼らず、記録をもとに改善を続ける姿勢を身につけました。」
この例では、試合結果そのものよりも「記録→課題発見→改善」という行動を中心にしています。
自分の部活動経験を書くときも、「何を成し遂げたか」だけでなく、「何を変えたか」を探してみてください。
勉強や資格への取り組みを伝える自己推薦書例文
勉強や資格についても、合格や点数だけを書く必要はありません。
【モデル例文】
「私は、苦手な原因を分析し、学習方法を修正しながら取り組める点が強みです。
英語の資格試験に向けて勉強していましたが、思うような結果が出ない時期がありました。そこで問題別の正答率を振り返ると、特にリスニングに課題があると分かりました。
以降は通学時間に音声教材を聞く時間を設け、学習内容をリスニング中心に組み直しました。この経験から、努力量だけでなく、課題に応じて方法を変えることの大切さを学びました。」
資格名や点数を並べるだけではなく、「どう学習方法を変えたか」を書くと、本人の行動が見えてきます。
委員会や学校生活の経験を使う自己推薦書例文
目立つ役職がなくても、集団の中でどのように動いたかを書けます。
【モデル例文】
「私の強みは、異なる意見を整理し、周囲と協力して解決策を考えられることです。
文化祭実行委員として準備を進める中で、企画についてクラスの意見が分かれました。私は全員の希望を聞き、意見を内容ごとに整理しました。
そのうえで共通する希望を残した折衷案を提案し、話し合いを進めました。この経験から、意見が対立したときこそ、相手の考えを整理して共通点を探すことが大切だと学びました。」
生徒会長などの肩書きがなくても、「その場で何を考え、どう動いたか」を説明できれば材料候補になります。
目立つ実績がない場合の自己推薦書例文
以下も、目立つ受賞歴や役職がない場合の書き方を示すためのモデル例です。
【モデル例文】
「私の強みは、身近な疑問をそのままにせず、自分で調べながら考えを深められることです。
日頃利用している地域のバスについて、高齢者にとって使いやすい交通手段になっているのか疑問を持ちました。そこで探究学習では、地域交通をテーマに資料を調べ、運行状況や地域の課題を整理しました。
調べる中で、一つの数字だけでは実際の利用者の困りごとは分からないと感じ、人の声も含めて考える必要があると気づきました。
この経験から、疑問を持ったときに資料を集め、複数の視点から考える姿勢を身につけました。大学でもこの姿勢を活かし、地域課題について学びを深めたいと考えています。」
身近な疑問や日常の行動も、大学の設問に合い、本人の思考や工夫を説明できるなら自己推薦書の材料として検討できます。
例文を5要素に分解して自分の経験へ置き換える
モデル例文を参考にするときは、文章表現を真似するのではなく、構造だけを借ります。
| 要素 | モデル例の内容 | 自分の経験に置き換える |
|---|---|---|
| 強みの軸 | 疑問を調べて考えを深める力 | 自分の強みを一言で |
| 具体的経験 | 地域交通について調べた経験 | 強みが表れた出来事 |
| 行動・工夫 | 資料を集め、複数の視点で考えた | 自分が考えて行ったこと |
| 結果・学び | 人の声も含めて考える必要性に気づいた | 自分の変化・気づき |
| 大学での活かし方 | 地域課題の学びへつなげる | 入学後にどう活かすか |
5行を先に埋めてから文章にすると、モデル例を丸写しせず、自分の経験に置き換えやすくなります。
教室長の添削で多かった失敗例と提出前チェック

教室長時代の添削で実際によく見たのが、①要素の詰め込みすぎ、②成果の羅列、③大学への唐突な接続の3パターンです。
以下のNG文は、当時の相談傾向をもとに、特徴が分かるよう再構成した説明用のモデル例です。
部活・成績・資格・性格を一度に詰め込みすぎる
【NGモデル】
「私はサッカー部の副部長を務め、資格取得にも取り組み、生徒会活動にも参加しました。また、好奇心が旺盛で、協調性にも自信があります。」
問題は、情報量が多いのに、それぞれの強みを裏付ける行動がほとんど見えないことです。
教室長時代も、部活・成績・資格・性格を一度に入れようとして、結局何を伝えたいのか分からなくなった原稿を見ました。
この場合は、「意見を整理して周囲をまとめる調整力」に軸を置き、副部長としてどんな場面で何をしたのかを詳しくします。
実績を減らすのは、内容を弱くするためではありません。中心となる強みを見えやすくするためです。
大会結果や評定などの成果だけを並べてしまう
【NGモデル】
「吹奏楽部で毎日練習し、コンクールで金賞を受賞しました。この経験から、努力の大切さを学びました。」
結果は分かりますが、本人が何を考え、何を工夫したのかまでは伝わりません。
私が添削するときは、
「どこが一番うまくいかなかった?」
「そのとき、自分で何を変えた?」
と掘り下げていました。
リズムのずれを改善するために録音して聞き直したのであれば、その行動を中心に書きます。
成果は強みを証明する材料の一つです。
成果そのものが文章の主役にならないよう注意してください。
最後だけ唐突に大学での学びへつなげてしまう
【NGモデル】
「地域交通について調査し、問題解決力を身につけました。だからこそ、貴学の経済学部で学びたいと考えています。」
この形では、高校時代の経験と大学での学びが一文で無理につながっています。
改善するときは、経験から何を学び、どんな疑問が残ったのかを間に入れます。
「調査を通じ、交通サービスには利便性だけでなく運営の持続可能性も関わると気づいた。その課題をさらに考えるため、大学では地域経済について学びたい」
という流れです。
「大学で学びたいこと」を突然付け加えるのではなく、高校での経験から生まれた関心とつなげてください。
提出前に確認したい自己推薦書の5つの判断基準
下書きが完成したら、文章を増やす前に次の5点を見直します。
| チェック項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| ①強みの軸 | 全体を通じて伝えたい人物像が見えるか |
| ②具体的経験 | 強みを裏付ける場面が具体的か |
| ③本人の行動・工夫 | 自分が考え、実行したことが書かれているか |
| ④結果と学び | 結果だけでなく自分の変化まであるか |
| ⑤大学との接続 | 強みを入学後どう活かしたいかがつながっているか |
5項目のうち弱いところがあれば、その段落だけを直してください。
すべての経験や実績を足して長くするより、中心となる強みが伝わるよう整理する方が読みやすい文章になります。
【Q&A】自己推薦書の書き方でよくある質問

自己推薦書の作成で受験生がつまずきやすい細かな疑問をまとめました。
Q.自己推薦書で複数の強みを書いてもよいですか?
A.大学の設問が複数の観点を求めている場合などは、複数の強みを扱うこともできます。
単に長所を2つ、3つと並べるのではなく、全体としてどのような人物像を伝えるのかは整理してください。
迷った場合は、中心となる強みを1本置き、関連する強みを補助的に扱うと文章をまとめやすくなります。
Q.高校1・2年生の経験も自己推薦書に使えますか?
A.大学の設問や対象期間に反していなければ、高校1・2年生の経験も候補にできます。
特に、その経験をきっかけに高3まで行動や考え方がどう変わったか説明できる場合は、自分の変化を整理しやすくなります。
ただし、活動時期について指定がある場合は、必ず募集要項を優先してください。
Q.自己推薦書は先生や塾に添削してもらうべきですか?
A.自分だけでは気づきにくい論理の飛躍や、分かりにくい表現を見つけるため、第三者に読んでもらう方法はあります。
添削者の言葉へ全面的に書き換えるのは避けてください。
自己推薦書に書いた内容は、面接で質問される可能性もあります。
自分が説明できる言葉、自分の経験として話せる内容を残すことが大切です。
自己推薦書に書いた経験を面接でどう深掘りされるか確認したい場合は、大学面接でよく聞かれる質問ランキングTOP20|回答例と深掘り対策で、提出書類をもとにした質問への備え方を確認できます。
Q.同じ経験を別の出願書類でも使ってよいですか?
A.同じ経験を使う場合でも、書類ごとに切り口を変えられます。
同じ部活動経験なら、
- 自己推薦書:自分の強みや行動
- 志望理由書:学問への関心につながった部分
- 活動報告書:活動内容や役割
という分け方です。
実際に大学が求める内容は設問ごとに異なります。
名称だけで判断せず、各書類の設問を読んでから使い分けてください。
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まとめ:自己推薦書の書き方と例文

記事の重要ポイント
自己推薦書では、実績をたくさん並べることより、「どんな強みがあり、それがどの経験に表れたのか」を分かる形にすることが大切です。
書くときは、次の5点に整理してください。
- 強みの軸
- 具体的な経験
- 本人の行動・工夫
- 結果と学び
- 大学での活かし方
目立つ実績がない場合も、続けたこと、失敗したこと、改善したこと、周囲から頼られたことを振り返ると材料が見つかることがあります。
例文はそのまま写すのではなく、構造だけを借り、自分自身の経験へ置き換えてください。
迷ったときの判断基準と次の行動
迷ったら、最初に志望大学の最新の募集要項・指定様式・設問へ戻ってください。
そのうえで、
募集要項を読む
↓
経験を広く書き出す
↓
中心となる強みと経験を決める
↓
課題・行動・工夫・学びを整理する
↓
下書きを作る
↓
5つの判断基準で見直す
という順番で進めます。
自己推薦書で難しいのは、きれいな文章を書くことだけではありません。
「自分のどの経験を使い、何を残し、何を削るか」を整理することが、書き始める前の大切な作業です。
執筆者プロフィール

※この記事は、総合型選抜・学校推薦型選抜に精通した神崎悠真が執筆しています。志望理由書や自己PR、活動報告書、面接、小論文など、出願から選考までに必要な対策について調査・分析した知見を記事に反映しています。
神崎悠真は、総合型選抜・学校推薦型選抜を中心に、大学ごとの入試制度や選考方法、出願書類、面接・小論文対策などの情報を整理・分析しています。受験生が「何を、いつまでに準備すればよいのか」を具体的に判断できる、わかりやすく実践的な情報提供を心がけています。
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