偏差値40から50に上げる大学受験の勉強法|必要期間と最初にやること

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模試で偏差値40前後という結果を見て、「50まで何ヶ月かかるのか」「今のやり方で間に合うのか」と焦っていませんか。
偏差値40から50は、取り組み方が合っていれば十分に狙える目標です。
ただし期間は、1科目か総合偏差値か、基礎の定着度、残り期間によって変わります。
つまずきやすいのは、全科目を中学内容からやり直そうとしたり、勉強時間や参考書の量だけを増やしたりする点です。
この記事では、模試の失点と普段の勉強から弱点を見つける方法、5つの勉強ステップ、必要期間の考え方、伸びないときの見直し方を解説します。
最初にやることから見ていきましょう。
記事のポイント
- 偏差値40から50は十分に狙える
- 全科目を中学からやり直さなくていい
- 模試の失点とノートから弱点を探す
- 解説を閉じて自力で解き直す
偏差値40から50に上げるのは可能?大学受験の難易度と条件

10ポイントの差が大きいのか小さいのか、統計上の位置と模試ごとの違いから整理します。
数字の意味が分かると、必要以上に不安になることも減ります。
偏差値40から50への10ポイントアップは現実的に可能なのか

偏差値は、平均点を50、標準偏差を10として得点の位置を表す指標です。
「50+10×(自分の得点−平均点)÷標準偏差」で求められます。
偏差値40と50の差は、模試の受験者集団の中での相対的な位置の違いです。
得点が正規分布に従うと仮定すると、偏差値40は下位約15.9%、偏差値50は中央にあたります。
その間の約34.1%という数字は理論上の値で、実際の順位や得点差は模試によって異なります。
偏差値40前後の場合、必要になるのは難問を解く力というより、基礎・標準問題の取りこぼしを減らす取り組みであることが多いでしょう。
取り組みの方向が合っていれば、届く可能性は十分にあります。
偏差値40と50の違いは模試の平均と受験者集団で変わる
偏差値は「その模試を受けた集団の中での位置」です。
同じ数字でも、模試が違えば意味が変わります。
自分が受けた模試の特徴を、次の表で押さえておきましょう。
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| 模試 | 主催 | 主な受験対象・特徴 | 偏差値を見る際の注意点 |
|---|---|---|---|
| 全統記述模試 | 河合塾 | 高校3年生・高卒生が対象。国公立大学の二次試験や私立大学入試を想定した、記述・論述式の模試。 | 記述力や論述力を含む学力を確認できる。共通テスト型の模試とは出題形式が異なるため、偏差値の単純比較は避ける。 |
| 全統共通テスト模試 | 河合塾 | 高校3年生・高卒生が対象。大学入学共通テストに準拠した問題を出題するマーク式の模試。 | 共通テスト形式への対応力や志望大学との学力差を確認する。記述模試とは問題形式や成績の集計条件が異なる。 |
| ベネッセ総合学力テスト | ベネッセコーポレーション | 主に高校1年生から高校2年生の1月までが対象。高校の授業進度を踏まえ、基礎学力や学習到達度を確認する。 | 学校での学習内容の定着度を確認しやすい。他社模試とは母集団や偏差値の算出方式が異なる場合がある。 |
| 進研模試 | ベネッセコーポレーション | 主に高校2年生の2月以降から高校3年生を対象とする大学入試向けの模試。記述式や共通テスト型の模試がある。 | 全国的な学力の位置や志望大学の判定を確認できる。他社模試の偏差値や合格判定基準に、そのまま当てはめることはできない。 |
| 駿台全国模試 | 駿台予備学校 | 高校3年生・高卒生が対象。難関大学を目指す受験生などに向けた、ハイレベルな記述・論述式の模試。 | 難関大学対策向けの母集団と出題水準が特徴。他の模試と同じ偏差値でも、学力の位置づけを同一視できない。 |
※受験者集団や偏差値の算出方法は模試によって異なります。「進研模試の偏差値から一定の数値を引くと全統模試の偏差値になる」といった一律の換算はできません。成績の推移は、できるだけ同じ種類の模試で比較しましょう。
進研模試と全統模試では、受験者集団も偏差値の算出方法も異なります。
そのため、一方の偏差値から一定の数字を引いて、もう一方の偏差値に換算することはできません。
学力の推移を見るときは、できるだけ同じ模試の結果を比べてください。
模試を変えて数字が動いた場合は、実力の変化と集団の違いを切り分けて受け止める必要があります。
1科目の偏差値と総合偏差値では必要な学習範囲が違う
「偏差値40」が1科目の話なのか、受験科目全体の話なのかで、立てるべき計画は別物になります。
違いを表にまとめます。
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| 比較項目 | 1科目の偏差値 | 総合偏差値 |
|---|---|---|
| 改善する対象 | 英語・数学・国語など、特定の1科目の成績 | 模試の総合偏差値の算出対象となる複数科目の成績 |
| 必要な学習範囲 | 対象科目の失点原因を確認し、理解が不足している単元や基本問題を優先して復習する。 | 複数科目の得点状況と弱点を比較し、改善を優先する科目・単元を決める。 |
| 計画の立て方 | 1科目の苦手単元に学習時間を集中させる。必要な復習範囲と理解度に応じて計画を調整する。 | 受験科目・配点・失点状況・残り期間を確認し、科目ごとの優先順位と時間配分を決める。 |
| 進め方の軸 | 対象科目の弱点を優先し、基本問題を自力で解ける状態を目指す。 | 科目ごとの優先順位と全体の学習バランスを考え、必要に応じて計画を修正する。 |
| 成果の確認方法 | 対象科目の模試得点・偏差値と、間違えた基本問題を自力で解けるようになったかを確認する。 | 対象科目全体の得点状況・総合偏差値の推移を確認し、科目ごとの改善状況も見直す。 |
※総合偏差値の算出方法は模試によって異なります。科目別偏差値を単純に平均した数値とは限りません。また、学習期間や偏差値の上昇幅は、基礎の定着度や学習状況によって異なります。
総合偏差値は、模試が採用する科目の得点をもとに算出されます。
算出方式は模試ごとに異なります。
1科目だけを伸ばして動く場合もあれば、複数科目の得点が少しずつ変わって動く場合もあります。
自分の悩みが1科目の話なのか、全体の話なのかを先に切り分けておくと、この後の章がそのまま使えます。
最初にやること|模試と普段の勉強から弱点を見つける

勉強量を増やす前に、何が身についていないのかを探します。
見る場所は「模試の失点」「ノートと問題集」「基本例題の理解度」の3つです。
直近の模試から基本問題の失点と理解不足の原因を確認する
偏差値40前後では、難問より先に、基本問題での失点を見直します。
個人成績票の小問ごとの正答率は、復習の優先順位を考える手がかりになります。
目安は、受験者の正答率が高かった問題のうち、自分が間違えた問題から先に見ていくことです。
小問正答率だけで失点の原因は決められません。
正答率が高い問題でも、時間不足や読み違いで落とすことはあります。
正答率が低い問題でも、志望大学の出題範囲に関わる基礎なら見過ごせません。
次の表は、復習の優先度を考える一例です。
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| 失点した問題 | 優先度の考え方 | 取る行動の例 |
|---|---|---|
| 正答率が高い問題 | 優先して確認する | 多くの受験者が正解している問題で失点した原因を確認する。知識不足・解法の理解不足・計算ミス・時間不足などに分け、必要な単元を復習する。 |
| 正答率が中程度の問題 | 理解度に応じて優先する | 解説を読んで解法を理解できるか確認する。既に学習した範囲なら解き直しを行い、必要に応じて基本例題や類題で解法の定着を図る。 |
| 正答率が低い問題 | 出題内容を確認して判断する | 志望大学の出題範囲や学習段階に照らして判断する。重要な基礎事項を含む場合は復習し、現時点で難しすぎる発展問題は後回しにする。 |
※復習の優先順位を考えるための目安です。小問正答率だけで問題の難易度や失点原因を断定することはできません。答案・解答過程・時間配分も確認し、必要な復習単元を決めましょう。
原因は、答案・解答の過程・時間配分とあわせて、4つに分けて整理します。
- 知識不足(公式や語句を覚えていなかった)
- 解法の理解不足(手順を混同した)
- 計算ミス・読み違い
- 時間不足
知識不足なら教科書の該当箇所へ戻ります。
時間不足なら、解法を素早く再現する練習が必要です。
次の記入例は、読者の参考用に作った仮の例です。
実際の指導記録ではありません。
- 失点した問題:因数分解の基本問題(x²+5x+6)
- 答案から分かったこと:解答欄が空白で、手が止まっていた
- 原因:「かけて6、たして5になる2数を探す」という考え方を使えていなかった(解法の理解不足)
- 戻る単元:教科書の因数分解の基本例題(式の展開から抜けているなら、中学の展開・因数分解の基本も)
- 解き直し:解説を閉じて、同じタイプの例題を自力で解く。翌日と週末にも解く
1つの失点を「原因」「戻る単元」「解き直し方」まで言葉にすると、最初の復習単元が決まります。
普段のノートと問題集から丸付け・解き直しの状況を点検する
模試の点数だけでは、失点の背景まで見えません。
模試の結果に加え、普段のノートや問題集を見ると、解説を読んで終わっているのか、自力で解けるところまで復習できているのかを点検できます。
次の項目で、自分の勉強を振り返ってみてください。
- 問題を解いた直後に丸付けをしている(まとめて後回しにしていない)
- 間違えた問題の解説を、赤ペンで写して終わっていない
- 解説を閉じて、同じ問題を最初から最後まで自力で解いた跡がある
- 翌日以降に、同じ問題を解き直した記録が残っている
- 解き直しで間違えた問題に印がつき、次の復習対象になっている
当てはまらない項目が多いほど、勉強時間が成績に結びついていない可能性があります。
その場合、足りないのは時間ではなく、解き直しの手順です。
基本例題の理解度から前の学年まで戻る必要があるか判断する
中学内容まで戻るかどうかの分かれ目は、「基本例題を自力で再現できるか」です。
数学を例に説明します。
高校数学の基礎的な教材の例題を開き、解説の途中式を読みます。
式変形の理由が分かり、解説を閉じて白紙に自力で書き直せるなら、高校内容のまま進められます。
反対に、次のような状態なら、中学内容の特定の分野に戻ります。
- 正負の数や分数が混ざった文字式の展開・因数分解で、計算ミスが続く
- 1次方程式・連立方程式の移項や同類項の処理で手が止まる
- 平方根の四則計算や、三平方の定理の基本が思い出せない
戻る範囲は、中学3年分の全体ではありません。
「計算と方程式」のように、つまずいた分野に絞った薄い問題集で、短期間に集中して取り組むのが現実的です。
高校生が中学の問題集を開くことに抵抗を感じるのは自然なことです。
それでも、穴をピンポイントで塞ぐための戦略的な行動だと捉えてください。
偏差値40から50へ上げる大学受験の勉強法5ステップ

診断で見つけた弱点を、優先順位づけから計画の修正までの5段階で直していきます。
各ステップに「次へ進む条件」を添えました。
ステップ1|志望大学の受験科目と失点から学習の優先順位を決める
全科目を同じ割合で進めると、どの科目も中途半端になりがちです。
優先順位は、次の4つを並べて決めます。
- 志望大学の受験科目と配点
- 模試での失点の多さ
- 現在の理解度
- 受験までの残り期間
受験科目や配点は、大学・学部・入試方式で異なります。
最新の募集要項で調べてください。
理系で理科の配点が高い場合もあれば、文系で数学を受けない場合もあります。
英語と数学を先に、といった一律の順番は決められません。
私は個別指導の現場で、生徒の学力と志望校に合わせて学習計画を作る仕事をしてきました。
偏差値の数字だけで勉強内容を決めることはありません。
失点の中身と残り期間を並べて、順番を考えます。
次へ進む条件は、優先する科目と、最初に復習する単元を1〜2つずつ書き出せていることです。
ステップ2|教科書と基礎問題集を現在の理解度に合わせて選ぶ
教材は、評判ではなく基本例題の理解度で選びます。
解説を読めば意味は分かるのに自力では式が立たない状態なら、解説が手厚く問題数が絞られた入門向けの問題集が合います。
数学を例にした教材の位置づけは、次のとおりです。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 教材 | 位置づけ | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 旺文社 『数学Ⅰ・A 入門問題精講 改訂版』 | 公式や考え方を講義形式で丁寧に解説し、基本問題を厳選した入門向け教材。 | 教科書の基本例題でも手が止まり、公式の意味や解き方から理解し直したい人。 | 解説を読むだけで終わらず、自力で解けるか確認する。基本事項が定着したら、必要に応じて入試基礎レベルの演習へ進む。 |
| 数研出版 『改訂版 チャート式 基礎と演習 数学Ⅰ+A』 (白チャート) | 教科書との併用に適した基礎固め用教材。 | 基礎を段階的に学び直したい人。教科書の説明だけでは理解しづらく、例題を通して学習を進めたい人。 | 収録範囲が広いため、最初からすべての問題に取り組む必要はない。苦手単元と基本例題を優先する。 |
| 旺文社 『数学Ⅰ・A 基礎問題精講 六訂版』 | 大学入試によく出る基本的な問題を扱い、入試に対応できる基礎力を養う演習教材。 | 教科書の基本例題をある程度自力で解け、入試基礎レベルの解法を身につけたい人。 | 公式や基本事項が理解できていない場合は、入門教材や教科書へ戻る。解説を閉じて解法を再現できるか確認する。 |
| 数研出版 『改訂版 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A』 (青チャート) | 教科書レベルから難関大学入試まで、幅広い例題と演習問題を収録した網羅型の参考書。 | 基本事項を理解しており、幅広い解法を学びながら標準・応用問題にも段階的に取り組みたい人。 | 偏差値40前後で基礎が未定着の場合、全範囲を進めると負担が大きい。使用するなら理解できる基本例題に絞る。 |
※教材の適否は偏差値だけでは判断できません。教科書の基本例題を理解できるか、解説を閉じて自力で解けるかを確認し、現在の学力に合った教材を選びましょう。掲載書籍は数学Ⅰ・Aの例です。
向いているのは、基本問題の理解や解答に不安があり、基礎問題集からの復習が必要な状態の人です。
向いていないのは、基本例題をすでに自力で解けるのに、易しい計算ドリルだけを何周も繰り返している人です。
基礎が未定着のまま応用教材へ進もうとしている人も同じく向いていません。
教材のレベルは、書店で例題を数問読んで見極めます。
次へ進む条件は、選んだ教材の例題で、解説の意味を追えて、自力で書き直せることです。
ステップ3|間違えた問題は解説を閉じて自力で解き直す
解説を読んで「分かった」と感じる状態と、何も見ずに自分で解ける状態は別物です。
前者は理解したつもりの段階で、後者が点数につながる力になります。
手順は次のとおりです。
- 解説を読んで納得したら、本を閉じる
- 白紙に、式と答えを最初から最後まで自分の手で書く
- 途中で詰まったら、詰まった箇所だけ解説を見て、もう一度閉じて書き直す
赤ペンで正解を写す作業は、この手順の代わりになりません。
最後まで自力で書き切れた問題だけを「解き直し済み」として扱います。
次へ進む条件は、その日に間違えた問題を、解説なしで書き切れていることです。
ステップ4|翌日と週内の復習で基本問題の定着度を確認する
当日に解けた問題が、数日後にも解けるとは限りません。
記憶は時間とともに薄れるため、日をあけて複数回解き直す復習サイクルが、知識の定着に役立ちます。
実行しやすい形は、「当日に解き直し、翌日にもう一度、週末に間違えた問題だけ総復習」です。
全部を毎回やり直す必要はありません。
翌日と週末に解き直して正解できた問題は、定着してきたと判断できます。
解けなかった問題は、ステップ3の手順に戻って、解説を閉じて再現します。
問題集を最後まで一気に進め、一度も振り返らないやり方は、最初に解いた問題の記憶が残っていないことが多く、効率が下がります。
次へ進む条件は、翌日の解き直しで、基本問題を自力で正解できる状態が続いていることです。
ステップ5|基本問題の正答状況を見て学習計画を修正する
計画は、そのとおりに進まないことを前提に立てるものです。
大切なのは、進まなかったときにどう直すかを決めておくことです。
見るのは、解き直しの結果です。
同じ問題を繰り返し間違えている、途中式の意味を説明できない、翌日になると解けなくなる。
こうした状態が続くなら、先へ進まず、復習の日を増やします。
週に一度は正答状況を振り返り、次のどれが必要かを判断します。
- 進度を落とす
- 復習量を増やす
- 優先する単元を入れ替える
基本問題が安定して解けているなら、教材を一段階上げる時期です。
このステップを回し続けることで、「診断→優先順位→実行→確認→修正」の流れが完成します。
科目別に偏差値40から50を目指す大学受験の最初の勉強法

科目によって、つまずく場所も最初に手を付ける範囲も違います。
ここでは各科目の初動に絞って説明します。
英語は単語・文法・英文読解のどこでつまずくか確認する
英語は、つまずきの場所を次の3つに切り分けます。
- 基礎的な単語の語彙力
- 中学〜高1レベルの文法理解
- 短い文の構造をつかむ力
長文が読めない原因は、長文演習の不足よりも、単語と基礎文法の欠落にある場合があります。
点検の方法として、例えば『英単語ターゲット1400』(旺文社)のような基礎単語集で、共通テストの基本レベルの語を即答できるかを試します。
1つの文に知らない単語が複数あって構造が取れないなら、読解の演習より先に、語彙と文法に戻るべき状態です。
数学は計算・公式の理解・基本例題の再現を確認する
数学Ⅰ・Aの失点は、大きく3つに分けられます。
- 因数分解や平方完成などの計算力
- 解の公式の成り立ちといった公式の理解
- 2次関数のグラフ描画や場合分けの基本例題
偏差値40前後では、公式を丸暗記して、代入の計算で崩れてしまう場合があります。
目安になるのは、基本例題の途中式を一行ずつ自分の言葉で説明できるかどうかです。
「なぜここで因数分解するのか」「なぜこの場合分けになるのか」を口に出せない行は、理解が止まっている場所だと考えられます。
その行を含む単元の例題を、解説を閉じて再現する練習が最初の一歩です。
計算で手が止まる場合は、第2章で述べた中学内容の「計算と方程式」に絞って戻ることも選択肢に入ります。
国語は現代文の読解と古文・漢文の基礎を分けて確認する
国語は、現代文と古典で失点の原因が異なるため、分けて考えます。
現代文は、感覚で選ぶ読み方から、指示語や接続詞の働きを追う客観的な読み方へ切り替えることが出発点です。
入門的な教材としては、代々木ライブラリー『改訂版 田村のやさしく語る現代文』などがあります。
古文は、重要古文単語と助動詞(意味・接続・活用)の定着が土台です。
学研『マドンナ古文』のような入門教材が使われています。
模試の失点が現代文に集中しているのか、古文・漢文なのかを見て、着手する範囲を決めます。
古典の基礎が抜けたまま現代文の演習量だけを増やしても、点数は動きにくいでしょう。
逆に、現代文の失点が根拠のない読み方によるものなら、古典の暗記を増やしても解決しません。
理科・社会は受験に必要な科目の基礎知識から確認する
理科・社会は、志望大学で必要な科目を決めたうえで、その科目の基礎知識が足りているかを見ます。
必要な科目は、ステップ1で調べた受験科目から決まります。
歴史科目は、用語の丸暗記から入るより、時代の流れと因果関係をつかんでから重要語句を覚えるほうが、初見の問題に対応しやすくなります。
流れの把握には、文英堂『時代と流れで覚える!日本史用語』のような教材があります。
歴史総合や日本史探究、世界史探究のいずれでも、流れの理解と一問一答の併用が基本です。
教材は版の改訂で書名や対象が変わることがあるため、購入前に出版社の公式情報で現行版を確かめてください。
理科は、用語の定義を理解できているかが出発点です。
化学なら、『Gakken『宇宙一わかりやすい高校化学 理論化学 改訂版』』のような講義形式の教材で、化学基礎の内容から確かめていく方法があります。
偏差値40から50まで何ヶ月?科目数別の必要期間と勉強時間

必要な期間と時間は、受験科目数・弱点の範囲・残り期間で決まります。
一律の数字より、自分の条件に当てはめる考え方を整理します。
1科目と総合偏差値では50に上げるまでの期間が異なる
「偏差値10アップに何ヶ月かかるか」には、一律の数字で答えられません。
科目数、弱点の範囲、基礎の定着度、残り期間で、見込むべき期間が変わるためです。
次の表で、期間が短く済みやすい条件と、長くなりやすい条件を比べてみましょう。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 条件 | 短期間で進めやすい状態 | 時間がかかりやすい状態 |
|---|---|---|
| 対象科目数 | 1科目の改善に集中でき、復習すべき範囲が比較的限られている。 | 複数科目で基礎知識が不足しており、それぞれの科目で復習が必要になる。 |
| 弱点の範囲 | 失点の原因が特定の単元に集中しており、復習する内容を絞り込みやすい。 | 苦手な単元が複数に広がり、前の学年の内容まで戻る必要がある。 |
| 基礎の定着度 | 基本例題を自力で解ける単元が多く、計算ミスや知識の思い出し不足など、改善する課題を特定できる。 | 基本例題の解説を読んでも理解できない単元が多く、前提知識の確認から始める必要がある。 |
| 確保できる時間 | 学習と復習の時間を継続して確保でき、解き直しの結果に合わせて計画を調整できる。 | 学校行事や部活動などで学習時間が不安定になり、復習や学習計画の進行が遅れやすい。 |
※この表は、偏差値40から50への学習計画を考えるための比較です。必要期間を予測・保証するものではありません。実際の偏差値の変化は、模試の受験者集団や出題内容、現在の理解度、学習方法などによって異なります。
受験科目数は、大学・学部・入試方式で異なります。
国公立大学の一般選抜では、共通テストで情報Ⅰを含む6教科8科目を課す大学が多くあります。
必要科目は大学・学部・入試方式によって異なるため、志望大学の最新の募集要項で確認してください。
▶【大学入試センター】令和9年度 大学入学共通テスト 試験情報
1ヶ月で偏差値40から50に上げられる条件と難しいケース
1ヶ月での10ポイントアップは、条件がそろった場合に限って起こり得ます。
全範囲から出題される模試で、全科目の総合偏差値を1ヶ月で10上げるのは、一般には難しいと考えられます。
短期で変化が出やすい条件は、次のとおりです。
- すでに習った範囲で、ケアレスミスや手順の抜けが大きな失点の原因になっている
- 対象が1科目で、出題範囲が絞られている
- 解き直しの習慣がなかっただけで、基礎知識自体は持っている
反対に、短期での大幅な向上が難しいのは、次のようなケースです。
- 全範囲から出題される模試で、複数科目の基礎が未定着
- 教材の難易度が合わず、基本問題を自力で解けない
- 模試の間隔が空き、短期間の変化が結果に表れにくい
「1ヶ月で劇的に上がる」とうたう宣伝は、どの条件を前提にしているかを見る必要があります。
1日何時間勉強するかは受験科目数と残り期間から決める
「1日◯時間」という一律のノルマより、残りの期間から逆算して決めるほうが現実的です。
必要な勉強時間は、受験科目数や苦手単元の数、受験までの残り期間によって異なります。
学校や睡眠の時間を確保したうえで、無理なく続けられる学習時間を考えましょう。
逆算の手順は次のとおりです。
- 復習が必要な単元を、科目ごとに数える
- 受験までの残り期間を、週単位に区切る
- 1週間に進められる単元数と、復習に使える日を決める
- 解き直しの結果を見て、量を調整する
時間を増やす前に、第2章の点検で、すでに確保した時間が成果につながっているかを見直してください。
成果に結びついていない状態で量だけ増やすと、疲労だけが積み上がります。
復習する単元と1週間の学習量が決まったら、曜日ごとの予定へ落とし込みます。
1週間の勉強計画表の作り方と無料テンプレートを使うと、復習日や予備日も含めて整理できます。
最初の2週間は復習する単元と自力で解く目標を決める
初動で挫折しやすいのは、目標を大きく設定しすぎる場合です。
最初の14日間は、英語は1単元、数学は失点が集中した単元に絞って、「完全に再現できた」という体験を積みます。
次の表は、学習の流れの一例です。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 期間 | 取り組む内容の例 | 確認の基準 |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 英語: 模試で間違えた単語や基礎単語から復習範囲を決める。1日50語程度を例に、意味を思い出せるか確認する。 数学: 失点が集中した単元を選び、教科書の基本例題を1日5問程度を例に解く。解説で分からない箇所も確認する。 | 英単語の意味を、答えを見ずに思い出せるか。 数学の基本例題を、解説を閉じて自力で解けるか。 |
| 4〜7日目 | 英語: 前日に確認した単語を、答えを隠して再テストする。思い出せなかった単語を重点的に復習する。 数学: 前日に間違えた例題を解き直す。週末には、繰り返し間違えた問題をまとめて確認する。 | 前日に覚えた単語の意味を思い出せるか。 数学の解法を覚えるだけでなく、同じ問題を自力で解けるか。 |
| 8〜14日目 | 英語: 覚えにくい単語を継続して復習し、以前に確認した単語も再テストする。 数学: 同じ単元の基本例題や類題を解く。間違えた問題を記録し、週末に解き直す。 2週間の最後に、最初に解けなかった問題へ再挑戦する。 | 解説を見ずに正解できる問題が増えているか。 同じ問題を繰り返し間違える場合は、原因を確認し、必要な基礎単元へ戻る。 |
※この表は、偏差値40から50を目指す大学受験生向けの学習計画例です。英単語1日50語・数学1日5問は固定のノルマではありません。現在の理解度や学校生活に合わせて調整してください。また、翌日・週末の復習は実行例であり、すべての人に最適な間隔を示すものではありません。2週間で偏差値が上がることを保証するものでもありません。
参考: Association for Psychological Science|効果的な学習方法に関する研究レビュー
学校や部活の予定に合わせて、1日の問題数や単語数は調整してください。
1日の流れは「当日に解く→翌日に復習→週末に解き直す」を基本にします。
2週間後に、解けた問題の数と間違いの傾向を見て、次の2週間の範囲を決めます。
勉強しても偏差値40から50に上がらないときの見直し方

努力しているのに数字が動かないときは、量ではなく、方法のどこかにズレがあります。
症状別に、原因の探し方と直し方を示します。
解き直しても同じ問題を間違える場合の原因と修正方法
解き直しで同じ問題を間違えるときは、原因が「知識」「理解」「定着」のどこにあるかを分けて考えます。
- 解答に出てくる語句や公式そのものを知らない→知識の不足
- 解説の式変形の意味が分からない→理解の不足
- 解けた日と解けない日がある→定着の不足
多くの場合、解説の式や文言を目で追っているだけで、「最初の一歩をどう選ぶのか」を言葉にできていません。
修正方法は、問題ごとに「この問題は〜という条件なので、〜から始める」と、自分の言葉で書くことです。書けない問題は、理解が止まっている場所です。
その単元の教科書の例題に戻り、解説を閉じて再現するところからやり直します。
基礎教材でも解けない場合は前提知識と教材の難易度を見直す
基礎問題集を開いても手が止まる場合、教材が難しすぎるか、前提となる知識が抜けています。
前提の抜けとして多いのは、英語なら基礎的な語彙の不足、数学なら中学の図形や因数分解の抜けです。
判断の目安は、自力で解ける問題が少なく、解説の途中式も追えない状態が続いているかどうかです。
同じ教材を続けるのは効率的とはいえません。
講義形式の参考書や、前の学年の薄い教材に戻る選択をためらわないでください。
教材のレベルを下げることは後退ではなく、土台を作り直す作業です。
戻る範囲は、手が止まった問題の前提を一つずつたどって決めます。
全体をやり直すのではなく、必要な単元だけを短期間で埋めて、元の教材に戻る流れです。
勉強時間を増やしても伸びない場合は復習方法を変える
成績に大きく影響するのは、机に向かった時間の長さより、「自力で解けなかった問題を何問解けるように変えたか」です。
ノートの整理やマーカー引き、解説の流し読みは、勉強した気分になりやすい反面、解ける問題は増えにくいものです。
失敗のパターンと改善の方向を対応させます。
※スマートフォンでは表を左右にスクロールできます。
| 失敗のパターン | よくある学習行動 | 考えられる原因 | 改善のアクション |
|---|---|---|---|
| 同じ問題を繰り返し間違える | 間違えた問題の正答や解説をノートに写して終わり、解説を見ずに解き直していない。 | 解説を読んで理解した状態と、自力で解ける状態を混同している可能性がある。知識や解法が十分に定着していない場合もある。 | 解説の意味を理解した後、本を閉じて最初から解き直す。途中で手が止まったら原因を確認し、同じ問題や類題を自力で解けるか試す。 |
| 教材の難易度が合っていない | 難関大学を志望しているため、基礎の理解を確認せず、難しい応用問題や網羅系参考書を進めようとする。 | 前提となる知識が不足している可能性がある。解説の途中から理解できず、1問に時間がかかりすぎる場合もある。 | まず教科書の基本例題を解けるか確認する。難しい場合は、解説が丁寧な入門教材や必要な前学年の単元へ戻る。網羅系教材を使う場合も、理解できる例題に絞る。 |
| 勉強時間を増やしても成績が伸びない | 問題集を先へ進めることを優先し、以前に間違えた問題を復習していない。勉強時間や進めたページ数だけを記録している。 | 学んだ内容を思い出して使う練習や、時間を空けた復習が不足している可能性がある。理解度を確認できていない場合もある。 | 当日の解き直し、翌日の再確認、週末の復習を取り入れる。以前は解けなかった問題を自力で解けるようになったか記録し、結果に応じて計画を修正する。 |
※上記は、成績が伸び悩む場合に考えられる原因と改善方法の例です。失点原因は人によって異なるため、模試の答案や普段の学習状況を確認して判断してください。翌日・週末の復習は実行例であり、すべての人に最適な復習間隔を示すものではありません。
参考: Association for Psychological Science|効果的な学習方法に関する研究レビュー
自分に近いパターンを一つ選び、改善のアクションを今週から1つだけ実行してみてください。
一度にすべて変えようとすると続きません。
自分だけで解き直しや計画の修正を続けるのが難しいときは、学習計画と日々の学習管理を受けられるオンライン塾を使う方法もあります。
東大毎日塾は、専属の東大生メンターが学習計画づくりと毎日の学習管理を行うオンライン個別指導塾です。
【Q&A】大学受験で偏差値40から50を目指す人のよくある質問

本文で詳しく説明した内容は省き、途中段階の目標や受験学年、周囲の見え方、合格との関係を補足します。
Q. 偏差値45から50なら何を優先すればよいですか?
A. 直近の模試で失点した標準問題の定着漏れと、計算ミスや時間配分に絞って対策するのが基本です。
ただし、偏差値45という数字だけで、基礎がどこまで身についているかは判断できません。
単元ごとに差があるのが普通です。
答案を見直して、基本問題で手が止まる単元が見つかった場合は、偏差値40からの手順(第2章・第3章)に戻って診断してください。
基本問題はおおむね解けているなら、ミスの原因を分類して潰す作業が中心になります。
Q. 高3や浪人生でも偏差値40から50を目指せますか?
A. 目指せます。ただし、残り期間に応じて、復習の優先順位を絞る必要があります。
残り期間が短いほど、すべての科目・単元に均等に時間を割くことは難しくなります。
志望大学の受験科目と配点、模試での失点を並べて、優先する科目と単元を決めてください。
科目の変更や志望大学の変更は、本人の進路希望を踏まえた個別の判断です。
学習の面では、基本問題の失点を潰す手順そのものは、受験学年でも変わりません。
Q. 偏差値40と50では周囲からの印象も違うのでしょうか?
A. 数字の見え方は変わることがあります。
偏差値は人の能力や価値を表すものではありません。
偏差値は、特定の集団の中での相対的な位置を示す数字です。
偏差値50は、その模試の受験者集団の平均水準にあたります。
偏差値40だった時点で、本人の能力が劣っていたわけではありません。
基本事項の定着漏れや復習手順に、改善の余地があったということです。
数字で自分を判断せず、直せる箇所に目を向けるほうが、次の行動につながります。
Q. 偏差値50になれば志望大学に合格できますか?
A. 模試で偏差値50を取っても、志望大学への合格が保証されるわけではありません。
河合塾のボーダー偏差値は、大学・学部・入試方式ごとに、合格可能性が50%となる学力水準を予想したものです。
模試の偏差値50が、そのまま合格可能性50%を意味するわけではありません。
自分の模試結果を、志望大学の最新の入試難易度や受験科目・配点と照らし合わせて判断する必要があります。
大学ごとの出題形式への対策も欠かせません。
偏差値50前後の大学を目指す場合も、必要な勉強時間は現在の学力や受験科目によって変わります。
偏差値50前後の大学を目指す場合の勉強時間の考え方で、平日・休日の目安と決め方を確認してください。
まとめ:偏差値40から50に上げる大学受験の勉強法

偏差値40から50に上げる大学受験の勉強法で重要なポイント
偏差値40から50への10ポイントは、基礎・標準問題の取りこぼしを減らす取り組みで届く可能性があります。
必要な期間は科目数・弱点の範囲・基礎の定着度・残り期間によって異なり、成果の保証はできません。
押さえたいポイントは、次の3つです。
- 弱点診断:模試の失点を答案と照らして原因別に整理し、ノートや問題集の使い方も点検する
- 基礎学習:基本例題を自力で再現できるかを基準に、教材の難易度と戻る範囲を決める
- 定着の確認:解説を閉じて解き直し、翌日と週末に再確認し、結果を見て計画を修正する
勉強時間を増やす前に、今の勉強で何が身についていないのかを見つけることが、成否を分けます。
迷ったときは模試と教材を確認して最初の復習単元を決める
全体を一度に変えようとする必要はありません。
今日できる最初の行動は、直近の模試を開いて、受験者の正答率が高かったのに自分が落とした問題から、単元を1つ選ぶことです。
単元の教科書や入門問題集の例題を、解説を見ずに解き直します。
解けなければ、解説を読んで閉じ、白紙に再現します。
翌日にもう一度解き直してください。
この小さなサイクルが回り始めたら、優先する科目、復習する単元、期間を決めて、第3章の5ステップへ広げていきます。
偏差値の数字だけで自分を決めつけず、目の前の1単元から始めることが、50へ向かう最初の一歩になります。
執筆者プロフィール

※この記事は、大手個別指導塾で27年間、小学生・中学生の学習指導や進路指導に携わってきた「予備校オンラインドットコム」編集長・橘誠一郎が執筆しています。長年の教育現場で培った経験と知見をもとに、記事内容をわかりやすくお伝えしています。
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