理系の理科選択|物理・化学・生物はどれがいい?大学受験の選び方を解説

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理系の科目選択届の提出期限が近づき、「好きな科目を選んでよいのか」「受験できる大学が狭くならないか」と焦りを感じている方は少なくありません。
友人や先生の一言に流されそうになる時期でもあります。
ここでは理系高校生が理科を決めるときに実際に確認すべき順番と、選び方を誤ったときに起こりやすい失敗を整理します。
記事のポイント
- 理科選択は志望校の条件確認から
- 物理・化学・生物・地学を比較
- 併願や後期まで見て選ぶ
- 得意科目だけで決めない
理系の理科選択はどれがいい?最初に結論

理科選択に唯一の正解はありません。
まず押さえておきたい3つの結論から見ていきます。
理科選択に一律のおすすめ科目はない
物理・化学・生物・地学のどれが「一番おすすめか」という問いに、単一の答えはありません。
理系だから物理と化学が無難、暗記が得意だから生物、といった一般的なイメージだけで決めてしまうと、志望校によっては条件を満たせなかったり、学習を始めてから自分の考え方と合わなかったりすることがあります。
理科選択で最初に外してほしいのは、「みんなが選ぶ科目=自分にとって有利な科目」という思い込みです。
地学を含めた4科目はいずれも正当な選択肢であり、志望校の条件と自分の学び方に照らして初めて優劣が決まります。
まず志望大学で使える理科を確認する
理科を選ぶときは、得意・不得意や好き嫌いより先に、志望する大学・学部・学科でその科目を受験に使えるかを確認します。
特に、次の点を見ておきましょう。
- 必要な理科は1科目か2科目か
- 物理・化学など指定科目があるか
- 第一志望で選択予定の科目を使えるか
- 後期日程や私立併願でも同じ科目を使えるか
- 入試方式によって科目指定が変わらないか
同じ大学でも、学部・学科や入試方式によって必要な科目が異なることがあります。
得意な科目や好きな科目を先に決めるのではなく、まず受験予定校で利用できる理科を洗い出し、その中から自分に合う科目を選ぶのが基本です。
第一志望だけでなく併願・後期も確認する
理科を選ぶときは、第一志望の前期日程だけで判断しないことが大切です。
あわせて、次の受験先でも同じ科目が使えるかを見ておきましょう。
- 国公立大学の後期日程
- 私立大学の併願校
- 共通テスト利用方式
- 志望変更した場合の候補学部
第一志望では使える科目でも、後期日程や併願先では利用できないことがあります。
科目を決める前に、受験する可能性のある大学・学部・入試方式を並べて確認しておくと、出願時になって選択肢が狭まるリスクを減らせます。
第一志望で使える理科だけを見て決めると、私立大学の併願先が狭くなる場合があります。
併願校まで具体化する段階では、私立大学の併願校を科目・日程まで含めて組む方法も確認しておきましょう。
大学受験の理科選択は4つの順番で決める

理科選択は、次の4つの順番で確認していくと整理しやすくなります。
私は大手個別指導塾で、毎年、高校1年生の冬から高校2年生の春にかけて理科選択の相談を数多く受けてきました。
その面談で実際に使ってきたのが、次の4段階の判断順です。
①募集要項で利用科目と科目数を確認する
志望校の募集要項を開き、理科の指定科目と必要科目数を書き出す作業です。
第一志望の前期日程だけでなく、後期日程や併願を検討している私立大学まで含めて、以下の項目をノートに書き出してもらうようにしています。
募集要項・出願要件確認チェックリスト
| チェック | 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| □ | 必要な理科の科目数 | 第一志望大学の前期日程・私立一般選抜で、理科が「1科目」か「2科目」必要なのかを確認する |
| □ | 指定科目の有無 | 「物理必須」「化学必須」などの指定がないか、生物や地学でも受験できるかを確認する |
| □ | 後期日程の条件 | 国公立大学の後期日程で、前期日程とは異なる理科の指定がないかを確認する |
| □ | 私立併願で使えるか | 併願予定の私立大学で、選択予定の理科が利用できるかを確認する |
| □ | 共通テストの利用条件 | 理科2科目を受験する場合、「第1解答科目」の扱いなど大学独自の利用条件がないかを確認する |
この作業を先に済ませておくと、そもそも選べない科目を検討する時間を減らせます。
まだ志望校が固まっていない段階で候補を複数見ておけば、理科を決めた後に受験校が絞られすぎるリスクを減らせます。
②志望学部の学びと理科の相性を確認する
出願できるかどうかを確認したら、次に見たいのは、入学後の学びと高校理科がどうつながるかです。
機械・電気電子系の工学部では物理が初年次の必修科目になっていることが多く、農学・薬学・生命系では化学や生物の知識が基礎科目とつながっている場合があります。
この章では学部そのものの詳しい解説はしませんが、「合格すること」だけでなく「入学後についていけるかどうか」まで視野に入れて理科を選ぶ視点を持っておくと、進学後のミスマッチを防ぎやすくなります。
③模試やノートから自分の適性を確認する
理科選択の相談では、定期テストの点数だけで判断していたわけではありません。
私は模試の成績や普段の学習ノートも見ながら、次のような学習の傾向を確認していました。
- 公式の意味を理解して使えているか
- 答えだけでなく、途中の考え方を説明できるか
- 初めて見る問題でも条件を整理して考えられるか
- 実験データやグラフから必要な情報を読み取れるか
- 間違えた問題を、理由まで振り返っているか
公式を覚えて数値を当てはめるだけになっている生徒と、現象の仕組みを理解してから式を立てようとする生徒では、同じ点数でも問題への向き合い方が異なります。
「数学が得意だから物理」「暗記が得意だから生物」といった単純な決め方だけでは、自分との相性を十分に判断できません。
模試の解き直しや普段のノートを振り返り、自分がどのように考えて問題を解いているのかを見ることも、理科を選ぶ大切な判断材料になります。
④英語・数学を含めた学習時間を確認する
理科を単体で得意・不得意だけで判断するのではなく、ここでは、理科だけでなく英語・数学を含めた受験全体の時間配分で考えます。
理系受験では数学Ⅲ・Cや英語長文対策に多くの時間を割く必要があり、理科2科目を完成させる時間との兼ね合いが出てきます。
理科そのものへの興味や適性が高くても、他教科に必要な時間を圧迫してしまっては本末転倒です。
私が判断するときは、理科単独ではなく、英語・数学の仕上がり具合と残りの期間を合わせて、無理のない科目数・組み合わせになっているかを見るようにしています。
国公立理系では、数学・理科だけでなく共通テストの社会対策も必要になる場合があります。
社会科目がまだ決まっていない場合は、理系受験生の社会科目の選び方も確認し、主要科目との学習時間を調整しましょう。
物理・化学・生物・地学の違いを比較する

ここからは4科目それぞれに必要な力の違いを見ていきます。
目的は科目を詳しく知ることではなく、自分に合うかどうかを判断する材料にすることです。
物理は現象理解と数式を結び付ける力が必要
物理は「暗記が少ないから楽」「数学が得意なら向いている」と思われがちですが、それだけでは判断できません。
力学や電磁気などの現象を理解し、条件を整理して数式に置き換える力が求められます。
物理を選ぶか迷っている場合は、次の6つの視点から見てみましょう。
| 判断軸 | 物理の特徴 | 選ぶ前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 問題を解くときの考え方 | 現象を整理し、基本原理や数式を使って答えを導く | 公式を当てはめるだけでなく、なぜその式を使うのか考えられるか |
| 暗記と理解のバランス | 覚える公式や用語だけでなく、公式の意味や現象の理解が重要 | 丸暗記ではなく、原理から理解する学習に取り組めるか |
| 学習負担と時間配分 | 基本原理を理解したうえで、さまざまな設定の問題演習が必要 | 数学や英語とのバランスを取りながら演習時間を確保できるか |
| つまずきやすいポイント | 公式を覚えていても、条件の整理や立式ができず手が止まることがある | 模試の解き直しで、立式した理由を自分の言葉で説明できるか |
| 大学入試での利用条件 | 大学・学部・学科・入試方式によって指定の有無が異なる | 第一志望だけでなく、後期日程や私立併願でも利用できるか |
| 大学での学びとのつながり | 物理の知識が入学後の学習につながる学部・学科がある | 志望学部の初年次科目やカリキュラムで物理を扱うか |
実際の指導では、「理系だから物理」「友達も物理を選んでいる」という理由で選んだものの、公式を丸暗記する学習になり、模試で一桁得点を繰り返していた生徒もいました。
この生徒の場合、公式この生徒は、数式によるモデル化についていけず、公式を丸暗記する学習に偏っていました。
その結果、模試では一桁得点を繰り返していました。
物理を選ぶかどうかは、計算が得意かだけで決めるのではなく、現象を理解して数式につなげる考え方に取り組めるかを見ることが大切です。
模試や普段のノートを振り返り、「公式を覚えて解いているだけになっていないか」「立式の理由を説明できるか」を見てみると、自分との相性を判断しやすくなります。
化学は理論・無機・有機で求められる力が異なる
化学は「暗記科目」と思われることがありますが、実際には理論・無機・有機で求められる力がかなり異なります。
計算、知識整理、構造の読み取りなどをバランスよく使うため、どれか1つだけが得意でも対応しにくい科目です。化学を選ぶか迷っている場合は、次の6つの視点から見てみましょう。
| 判断軸 | 化学の特徴 | 選ぶ前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 問題を解くときの考え方 | 理論では計算、無機では知識整理、有機では構造を読み解く力を使う | 分野によって考え方を切り替えながら学習できるか |
| 暗記と理解のバランス | 用語や物質の性質を覚えるだけでなく、反応や計算の仕組みを理解する必要がある | 丸暗記だけに頼らず、知識同士を関連付けて覚えられるか |
| 学習負担と時間配分 | 理論・無機・有機・高分子まで学習範囲が広い | 英語や数学とのバランスを取りながら、各分野の演習時間を確保できるか |
| つまずきやすいポイント | 理論計算だけ、暗記だけなど特定分野に偏ると後半で苦戦しやすい | 苦手分野を放置せず、分野ごとに復習できているか |
| 大学入試での利用条件 | 大学・学部・学科・入試方式によって指定の有無が異なる | 第一志望だけでなく、後期日程や私立併願でも利用できるか |
| 大学での学びとのつながり | 化学の知識が入学後の学習につながる学部・学科がある | 志望学部の初年次科目やカリキュラムで化学を扱うか |
化学で注意したいのは、「計算ができれば大丈夫」「暗記が得意なら何とかなる」と一方向だけで考えないことです。
理論化学ではモル計算や化学平衡などの数理的な処理が必要になり、無機化学では物質の性質や反応を整理して覚える力、有機化学では構造式や反応のつながりを読み取る力が求められます。
化学を選ぶときは、得意な分野だけを見るのではなく、計算・知識整理・構造理解の3つをバランスよく続けられるかを見ておくと判断しやすくなります。
生物は知識だけでなく資料読解・考察力も必要
生物は「暗記が得意なら選びやすい科目」と思われることがありますが、用語や仕組みを覚えるだけでは十分ではありません。
実験結果やグラフ、長めの文章から必要な情報を読み取り、知識と結び付けて考える力も求められます。生物を選ぶか迷っている場合は、次の6つの視点から見てみましょう。
| 判断軸 | 生物の特徴 | 選ぶ前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 問題を解くときの考え方 | 知識を使いながら、実験・資料・グラフから因果関係を読み取る | 初めて見る資料でも、条件を整理して考えられるか |
| 暗記と理解のバランス | 用語や仕組みを覚える量はあるが、知識同士をつなげて理解することも必要 | 単語だけを覚えるのではなく、仕組みや因果関係まで説明できるか |
| 学習負担と時間配分 | 幅広い分野の知識整理に加え、資料読解や考察問題の演習も必要 | 知識の定着と問題演習の両方に時間を使えるか |
| つまずきやすいポイント | 暗記だけで進めると、初見の実験問題や資料問題で対応しにくい | 模試の解き直しで、なぜその答えになるのか説明できるか |
| 大学入試での利用条件 | 大学・学部・学科・入試方式によって利用できるかどうかが異なる | 第一志望だけでなく、後期日程や私立併願でも利用できるか |
| 大学での学びとのつながり | 生物の知識が入学後の学習につながる学部・学科がある | 志望学部の初年次科目やカリキュラムで生物を扱うか |
生物で注意したいのは、「覚えるのが得意だから生物」と単純に決めないことです。
用語や生命現象の知識は必要ですが、入試では実験の条件を整理したり、グラフの変化を読み取ったり、複数の情報を組み合わせて考えたりする場面があります。
生物を選ぶときは、知識を覚えることに加えて、初見の資料を落ち着いて読み取り、「なぜそうなるのか」を考える学習を続けられるかも見ておくと判断しやすくなります。
地学は得意でも大学の利用条件を確認する
地学は、地震・火山・気象・天体・地球の歴史など幅広いテーマを扱う科目です。
興味を持ちやすい分野が多い一方で、大学入試では利用できる学部・学科・方式が限られる場合があるため、科目との相性だけでなく受験条件も合わせて見る必要があります。
地学を選ぶか迷っている場合は、次の6つの視点から確認してみましょう。
| 判断軸 | 地学の特徴 | 選ぶ前に確認したいこと |
|---|---|---|
| 問題を解くときの考え方 | 地震・気象・天体など異なる現象を、資料や観測データから読み解く | グラフや図表を見ながら、複数の情報を結び付けて考えられるか |
| 暗記と理解のバランス | 用語や知識を覚えるだけでなく、地球規模の現象のつながりを理解する必要がある | 単語だけでなく、現象の原因や関係まで説明できるか |
| 学習負担と時間配分 | 分野が広く、地質・気象・天文など性質の異なる内容を学ぶ | 苦手分野を残さず、各分野を継続して復習できるか |
| つまずきやすいポイント | 分野ごとに考え方が異なり、知識が断片的になると問題に結び付けにくい | 資料問題で、どの知識を使うか判断できるか |
| 大学入試での利用条件 | 大学・学部・学科・入試方式によって利用できるかどうかが異なる | 第一志望だけでなく、後期日程や私立併願でも地学を利用できるか |
| 大学での学びとのつながり | 地球科学・環境・防災など、地学の知識がつながる分野がある | 志望学部のカリキュラムで地学や地球科学を扱うか |
地学を選ぶときに特に注意したいのは、「好きで得意だから」という理由だけで決めないことです。
実際の指導では、地学が好きで成績も高かったものの、出願直前になって個別試験や後期日程で地学を使えないことが分かった生徒もいました。
地学は科目そのものの向き不向きだけでなく、第一志望・後期日程・私立併願まで含めて利用できるかを先に見ておくことが大切です。
4科目を学習特性と注意点で比較する
4科目の違いを、選ぶときに見るべきポイントだけに絞って比較します。
| 科目 | 主な学習特性 | 確認したい適性 | 受験条件の注意点 |
|---|---|---|---|
| 物理 | 現象を数式でモデル化する演繹的な思考 | 公式の意味や成り立ちを理解して使えるか | 大学・学部・入試方式によって指定が異なるため、志望校の募集要項を確認する |
| 化学 | 理論・無機・有機で求められる力が異なる | 数理的な処理と知識の体系化を両立できるか | 大学・学部・入試方式によって指定が異なるため、科目数と指定科目を確認する |
| 生物 | 実験や資料の因果関係を読み取り言語化する力 | 初見のデータや長文を読み解けるか | 利用できる大学・学部・学科が異なるため、第一志望だけでなく併願先まで確認する |
| 地学 | 空間・時間規模の大きい現象を統合的に捉える力 | 観察データを多角的に分析できるか | 個別試験で利用できるかを、後期日程や私立併願まで含めて確認する |
大学・学部・方式によって、それぞれの科目の扱いは異なります。
表の内容と自分の考え方の癖を照らし合わせながら、志望校の募集要項で最終的な条件を確認してください。
理科1科目・2科目は大学の指定から決める

理科の科目数や組み合わせも、一般的な傾向より先に大学の指定を確認する必要があります。
理科1科目でも大学・方式ごとに条件が異なる
私立理系の一般選抜では理科1科目で受験できる大学が多くあります。
「1科目でよいから何でもよい」わけではありません。
大学・学部・入試方式によって、物理限定や化学限定など指定科目が定められている場合と、自由に選べる場合があります。
私立理系だから科目は自由、と一括りにせず、同じ大学でも学部・学科・方式で条件が変わるため、募集要項は受験方式ごとに見るのが基本です。
理科2科目は組み合わせより指定科目を先に見る
理科2科目が必要な場合も、「理系なら物理+化学が無難」といった一般的なイメージから決めるのではなく、志望大学・学部・学科が指定する科目を先に確認することが大切です。
代表例として、2027年度一般選抜の理科2科目の指定を見てみましょう。
| 大学・学部等 | 2027年度 一般選抜における理科2科目の指定例 |
|---|---|
| 慶應義塾大学 理工学部 | 物理・化学(各100点/計200点) |
| 早稲田大学 創造理工学部 | 全学科で物理+化学 |
| 早稲田大学 基幹理工学部 | 学系1・4は物理+化学/物理+生物/化学+生物から選択可。学系2・3は物理+化学 |
| 早稲田大学 先進理工学部 | 学科により物理+化学のみ、物理+化学または化学+生物、3パターンから選択可に分かれる |
※早稲田大学では、Aパターン=物理+化学、Bパターン=物理+生物、Cパターン=化学+生物と定められています。
同じ「理工系」であっても理科の指定は一律ではありません。
慶應義塾大学理工学部のように物理・化学の両方が必要なケースもあれば、早稲田大学の基幹理工学部・先進理工学部のように、学系・学科によって生物を含む組み合わせを選べるケースもあります。
医学部医学科を含め、理科の指定は大学・学部・学科によって異なります。
「この組み合わせが定番だから」という理由だけで決めるのではなく、第一志望校はもちろん、国公立の後期日程や私立大学の併願先まで含めて確認してください。
理科2科目を決めるときの基準は、「受験する可能性のある大学・学部・学科で使える組み合わせか」です。
入試科目は年度によって変更される可能性があるため、最終決定の前には必ず受験年度の大学公式の募集要項を確認しましょう。
※理科解答パターンの詳細は、【早稲田大学】2027年度理工3学部 一般選抜概要でも確認できます。
物理+化学・化学+生物などの組み合わせ例
理科2科目の組み合わせには、物理+化学、化学+生物、物理+生物などがあります。
「この組み合わせなら幅広い大学を受験できる」「この組み合わせは特定の学部に向いている」と一律には判断できません。
大学・学部・学科・入試方式によって、利用できる理科の組み合わせや指定科目が異なるためです。
物理+化学を指定する理工系学部がある一方で、生物を含む組み合わせを認める学部・学科もあります。
同じ大学の理工系でも、学科によって利用できる理科が異なるケースがあります。
そのため、理科2科目を選ぶときは、組み合わせの一般的なイメージから決めるのではなく、次の順番で確認してください。
- 第一志望で利用できる組み合わせか
- 国公立の後期日程でも利用できるか
- 私立大学の併願先でも利用できるか
- 志望学部を変更した場合にも対応できるか
理科2科目の組み合わせに絶対的な「おすすめ」はありません。
受験する可能性のある大学・学部・学科の募集要項を並べて確認し、その中で利用できる組み合わせを絞ったうえで、自分の得意・不得意や学習時間も考えて決めることが大切です。
理科選択で後悔しやすい決め方と失敗例

ここでは、理科選択で実際に見られた後悔しやすい決め方を紹介します。
自分に当てはまるものがないか照らし合わせてみてください。
第一志望だけ見て地学を選び併願先が狭まった例
実際の指導では、地学が好きで成績も高かったものの、出願直前になって個別試験や後期日程では地学を利用できないことが分かった生徒がいました。
別の生徒では第一志望の前期日程だけを見て科目を決めたため、私立併願や後期日程で受験できる学部が限られてしまったケースもあります。
得意な科目であっても、第一志望で使えるだけでは十分とは限りません。
科目を決める段階で、後期日程や私立併願まで見ておくことが大切です。
友達に合わせて物理を選び苦戦した例
「理系なら物理・化学が無難」「周りの友人が物理を選んだから」という理由だけで物理を選択した生徒もいました。
数式による現象のモデル化についていけず、公式を丸暗記するだけの解き方に陥り、模試で一桁得点を繰り返していました。
友達の選択より、自分が初見問題でどう考えているかを材料にした方が判断しやすくなります。
模試の解き直しで立式の理由を自分の言葉で説明できるかどうかは、ひとつの目安になります。
「物理は楽・生物は暗記」で決めない
「物理は覚えることが少ないから楽」という見方の裏には、立式に至るまでの抽象的な思考が高い壁になるという実情があります。
反対に「生物は暗記さえすれば点になる」という見方の裏には、初見の実験データや考察問題で失点しやすいという実情があります。
選択前に持っているイメージと、実際の入試で求められる力との間にはズレが生じやすいものです。
先ほどの比較表を参考に、選ぶ前に、模試や普段の勉強で自分がどんな考え方をしているかを振り返ってみてください。
共通テスト理科の受験者数は科目選びの参考程度に
共通テストでは、物理・化学・生物・地学で受験者数に大きな差があります。
2026年度の受験者数は次のとおりです。
| 科目 | 2026年度受験者数 |
|---|---|
| 物理 | 145,203人 |
| 化学 | 181,584人 |
| 生物 | 56,314人 |
| 地学 | 2,701人 |
出典:大学入試センター「共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)」
受験者数を見ると、化学と物理が多く、地学はかなり少ないことが分かります。
受験者数が多い科目ほど自分に向いている、あるいは入試で有利という意味ではありません。
学校での開講状況や志望大学の指定科目など、さまざまな条件が受験者数に影響します。
理科選択では、人数の多さよりも、まず志望大学・学部で使えるかを確認し、そのうえで自分の適性や学習時間を考えて決めることが大切です。
平均点や選択者数だけで科目を決めない
共通テスト理科の平均点は年度によって大きく変動します。
2025年度は物理が58.96点、化学が45.34点と、両科目の間に13点以上の差がありました。
ところが2026年度の実施では、化学が56.86点まで上昇した一方、物理は45.55点まで下落し、前年とは順位が入れ替わっています。
前年の平均点が高かったという理由だけで科目を選んでも、翌年の作問によって難易度が逆転することがあります。
平均点や選択者数の多さを有利・不利の根拠にすることはおすすめできません。
理科選択後の科目変更・志望変更に注意する

理科は一度選んだら変更できないわけではありませんが、変更には相応の負担が伴います。
高校2年秋以降の科目変更は負担が大きくなる
高校2年の秋から冬にかけて「物理から生物に変えたい」という相談を受けたことがあります。
この時期からの変更で増える負担は、主に次の点です。
- 未履修の範囲を一から学び直す必要がある
- その分、英語や数学に使える時間が削られる
- 独学で追いつけない場合、講座や講習を追加で受講する必要が出てくることがある
実際の相談でも、科目変更後にどうやって英語・数学の学習時間を確保するかが大きな問題になりました。理科の変更は、他教科への影響まで含めて考える必要があります。
志望学部が変わると必要科目も変わる場合がある
医療系から情報系・理工系へ志望を変更した生徒が、変更先の大学の個別試験で物理が必須とされていたため、それまでの理科選択のままでは受験資格を満たせなかった例があります。
理科選択の時点で志望学部が固まっていなくても、将来的な志望変更の可能性まで含めて考えておくことが、後からの負担を減らすことにつながります。
志望学部がまだ固まっていない場合は、理科を決める前に理系学部の種類と自分に合う学部の選び方を確認し、候補となる学部で必要な理科科目を比較しておきましょう。
後から変える前提ではなく候補学部を広く確認する
理科の科目変更は不可能ではありませんが、ここまで見てきたとおり時間的な負担が大きくなります。
「合わなければ後で変えればよい」という前提で決めるのではなく、選択の時点で候補になりうる学部群を広めに想定し、それぞれで理科がどう扱われるかを確認しておくほうが、結果的に負担の少ない選び方になります。
志望がまだ固まっていないなら、候補学部を2〜3系統ほど書き出し、理科の条件を横並びで見ると判断しやすくなります。
共通テストの理科選択で確認する3つのこと

共通テストの理科は、制度上受験できることと、志望大学で利用できることが別の話である点に注意が必要です。
必要な理科の科目数は大学ごとに確認する
共通テストで必要になる理科の科目数や指定科目は、大学・学部・入試方式によって異なります。
同じ国公立大学でも、必要な科目数や利用できる理科が異なる場合があるため、「国公立なら理科は2科目」と一括りにはできません。
志望校ごとに、必要な科目数と指定科目を募集要項で見ておきましょう。
共通テストで受験できても大学で使えるとは限らない
共通テストの実施要項上は地学や理科2科目を選んで受験することができます。
志望大学の個別選抜基準では地学が利用不可と指定されていたり、理科2科目のうち「第1解答科目」しか合否判定に使われなかったりするケースがあります。
共通テストの制度上で受験できることと、出願先の大学がその科目を合否判定に有効な得点として扱うことは、別のルールとして分けて考える必要があります。
大学入試センターも、理科の科目選択について大学側が制限している場合があるため、志望大学の募集要項を確認するよう案内しています。
大学入試センターと大学の最新情報を確認する
共通テスト全体に関わる共通ルール、例えば試験日程や解答科目数の登録方法などは、大学入試センターが公表する受験案内で確認できます。
指定科目や配点、第1解答科目の扱いは、各大学の募集要項で見ることになります。
制度そのものの情報と、大学ごとの利用条件は参照先が異なります。
大学入試センターと大学公式の両方を見る、という使い分けで十分です。
理科選択や受験全体の学習計画を一人で決めるのが不安な方は、学習管理型のオンライン塾を活用する方法もあります。
【Q&A】理系の理科選択で残りやすい疑問

本文で詳しく扱わなかった疑問を、ここで簡潔に整理します。
Q. 志望大学が未定なら理科はどう選びますか?
A. 興味のある学部系統を2〜3つ挙げ、それぞれの候補大学で利用できる理科を見比べてみましょう。
まだ大学まで決まっていなくても、興味のある学部・学科から候補をいくつか挙げれば、どの理科が利用できるかを比較できます。
複数の候補で使える科目を把握したうえで、自分の適性や英語・数学を含めた学習時間も考えて選ぶと、後から志望先を狭めにくくなります。
Q. 好きな科目と受験校の広さはどちらを優先しますか?
A. どちらか一方に決めつけるのではなく、まず好きな科目で受験できる大学をすべて洗い出すところから始めてください。
その中に自分が進学を考えられる併願先や後期日程が含まれているなら、好きな科目を軸に進める判断もできます。
反対に、受け皿となる大学がほとんど見つからない場合は、指定科目の幅が広い科目を組み込む判断が必要になります。
Q. 理科の選択割合は科目選びの参考になりますか?
A. 参考情報にはなりますが、決定的な根拠にはしないほうがよいと考えます。
受験者数には大きな差がありますが、人数だけから科目の易しさや入試での有利・不利を判断することはできません。
選択者数は参考程度にとどめ、志望校の出願条件と自分の適性を優先してください。
多数派に合わせて自分の考え方の癖に合わない科目を選んでしまうと、公式暗記だけに頼るような学習に陥りやすくなります。
選択者数はあくまで参考程度にとどめ、出願条件と自分の適性を優先してください。
Q. 共通テストの理科選択でおすすめの科目はありますか?
A. 共通テストだけを基準に、一律におすすめできる理科はありません。
まず志望大学・学部が指定している科目数や利用できる理科を確認し、その中から自分の得意・不得意や学習時間を考えて選びます。
共通テストで受験できる科目でも、志望大学の判定に使えない場合があります。
第一志望だけでなく、後期日程や私立大学の共通テスト利用方式まで含めて募集要項を確認してから決めましょう。
まとめ:理系の理科選択|物理・化学・生物はどれがいい?大学受験の選び方を解説

理系の理科選択で押さえる重要ポイント
理系の理科選択は、「志望校の募集要項・出願条件→学部での学び→自分の適性→残りの学習時間」という順序で確認すると整理しやすくなります。
好き・得意という感覚だけで決めるのではなく、最初に見るべきなのは、『その科目で受験できるか』です。
周囲の選択や一般的なイメージに合わせて決めてしまうと、学習を始めてから公式暗記だけに頼るような苦戦につながることもあります。
迷ったら募集要項から次の行動を始める
迷ったら、まず第一志望・後期・私立併願の募集要項を3つ並べてみてください。
理科の指定科目・必要科目数をノートに書き出すだけでも、選べる科目とそうでない科目が見えてきます。
そのうえで、学部との相性、模試やノートから見える自分の適性、そして英語・数学を含めた残りの学習時間を比べながら、自分にとって無理のない理科を選んでいってください。
執筆者プロフィール

※この記事は、大手個別指導学習塾で中学生・高校生の数学・理科を長年指導してきた葛城健吾が執筆しています。定期テスト対策から高校受験・大学受験まで幅広く携わった経験をもとに、教育現場で培った知見を記事に反映しています。
葛城健吾は、数学・理科を中心とした理系科目の指導を得意としています。「なぜその答えになるのか」を理解することを大切にし、基礎から応用へと考える力を伸ばす指導で、多くの生徒の成績向上をサポートしてきました。
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