総合型選抜とは?仕組み・選考方法・一般選抜との違いをわかりやすく解説

総合型選抜とは?仕組み・選考方法・一般選抜との違いをわかりやすく解説

※この記事には一部PRが含まれます。

総合型選抜という言葉を知って、「一般選抜が不安だから、こちらも考えてみようか」と調べ始めた方は多いと思います。

同時に、「学力を見ない入試なのでは」「逃げだと思われないか」といった迷いも出てきがちです。

先に結論をお伝えします。

総合型選抜は、書類審査や面接などを組み合わせて評価する入試で、学力を見ない簡単な推薦入試ではありません。

出願条件も評価方法も、大学・学部・方式によって異なります。

この記事では、制度の基本、一般選抜・推薦との違い、評定と学力の関係を整理します。

最後に、自分の場合は募集要項のどこを見ればよいかを、4つの判断軸にまとめました。

制度の記述は文部科学省の公表資料をもとにしています。

記事のポイント

  • 総合型選抜の仕組みがわかる
  • 学力や評定の見られ方がわかる
  • 一般選抜・推薦との違いがわかる
  • 受ける前の確認ポイントがわかる

総合型選抜とは?仕組みと評価方法の基本

出願書類や面接、小論文、学力検査を組み合わせて総合的に評価する仕組みの概念図

総合型選抜がどんな入試で、何を材料に評価されるのかを整理します。

学力の扱い、旧AO入試との関係、2027年度入試の変更点も、この章で押さえておきましょう。

総合型選抜は複数の方法で評価する入試

文部科学省の大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜は、書類審査や面接などを組み合わせて、能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価する入試として位置づけられています。

評価の材料は、出願書類、面接、小論文、プレゼンテーション、口頭試問、学力検査、大学入学共通テストなど、さまざまです。

どの材料をどう組み合わせるかは、大学・学部・方式によって違います。

「書類と面接だけの入試」と決めつけず、志望校の方式がどの材料で評価するのかを見る入試だと捉えてください。

総合型選抜は学力を見ない入試ではない

「総合型選抜は学力を見ない」という話は、よく耳にします。

高大接続改革では学力の3要素である「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を評価することが求められています。

令和9年度の大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜で志願者本人が記載する資料を評価に活用し、面接による評価を行うことが求められています。

出願書類だけに頼らず、教科・科目の個別テスト、大学入学共通テスト、小論文・面接・実技検査等、資格・検定試験等のうち、定められた評価方法を少なくともいずれか1つ活用する仕組みです。

私の指導現場では、保護者に「推薦は面接中心で簡単」「評定が高ければ受かる」という昔のAO・推薦入試のイメージが残っていて、生徒本人との認識がずれるケースがありました。

そのイメージのままでは、今の総合型選抜の実態とずれてしまいます。

旧AO入試は総合型選抜へ名称変更された

総合型選抜は、かつてAO入試と呼ばれていた入試の後継にあたります。

2021年度(令和3年度)入試から、名称が「総合型選抜」に変わりました。

文部科学省は、多面的・総合的な評価の観点から選抜方法を改善し、各入試区分の特性をより明確にする考え方を公表資料で示しています。

名称が変わったからといって、中身が大学ごとに揃ったわけではありません。

書類中心の方式もあれば、小論文や共通テストを課す方式もあります。

旧AOのイメージで考えるより、現在の募集要項に書かれた選考内容をそのまま読むほうが、実態に近づけます。

2027年度入試で確認したい評価方法の変更

文部科学省が2026年5月27日に通知した令和9年度(2027年度)大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜で面接等による評価を行うことが求められています。

多面的・総合的に評価する総合型選抜の趣旨を踏まえた変更で、令和8年度にすでに実施されていた選抜区分のうち、令和9年度入試から面接を導入することが難しいものについては、遅くとも令和11年度入試までに導入するとされています(文部科学省の通知)。

ここで注意したいのは、「面接だけで合否が決まる入試になる」わけではない点です。

書類、面接、学力評価などを組み合わせた多面的な評価を徹底する、という方向の変更です。

受験する年度の募集要項と文部科学省の公表資料で、志望校の扱いを見ておきましょう。

総合型選抜を考えるときの4つの判断軸

出願条件、選考方法、志望理由、両立可能性の4項目をまとめた自己診断チェックシート

「受けるべきか」を考えるとき、難しいか簡単かで判断しても答えは出ません。

出願条件を押さえたうえで、私が実際の進路相談で確認していた3点を加え、この記事では4つの判断軸として整理します。

  1. □ 出願条件を満たしているか
  2. □ 選考方法に対応できるか
  3. □ その大学・学部で学びたい理由を説明できるか
  4. □ 一般選抜の勉強と両立できるか

「評定が必要か」「学力が必要か」「推薦が必要か」「併願できるか」は、それぞれ別の条件です。

一括りにせず、1つずつ当てはめていきます。

出願条件を満たしているか確認する

最初に確認したいのは、志望大学の出願条件を満たしているかです。

主に、次の項目を募集要項で確認します。

  • 全体の学習成績の状況(評定平均)
  • 英検など外国語検定の基準
  • 現役生・既卒生などの出願資格

条件を満たしていなければ、選考に進むことができません。

例えば、評定基準を設けていない方式がある一方、立教大学の自由選抜入試のように、学部・学科ごとに評定や英語資格などの出願条件を設定している入試もあります(立教大学の入試情報)。

同じ大学でも学部・方式によって条件が異なるため、大学名だけで判断せず、自分が受ける方式の募集要項を見ることが大切です。

選考方法に対応できるか確認する

次に確認したいのは、志望大学の選考で何が課されるかです。

総合型選抜では、方式によって次のような選考があります。

  • 書類審査
  • 面接・口頭試問
  • 小論文・総合問題
  • プレゼンテーション
  • 学力検査
  • 大学入学共通テスト

私が相談を受けるときも、選考に学力検査・共通テスト・小論文などが含まれているかを確認していました。

書類と面接が中心の方式なのか、数学的な論述や口頭試問、共通テストまで求められる方式なのかで、必要な準備は大きく変わります。

教科の学力が問われる方式なら、一般選抜に近い水準の対策が必要になる場合もあります。

「簡単かどうか」ではなく、課される選考方法と自分の得意・不得意が合っているかを見ることが大切です。

大学・学部で学びたい理由を説明できるか

3つ目は、その大学・学部で何を学びたいのかです。

「模試の偏差値が届かないから」という理由だけでは、志望理由として弱くなります。

私が相談の中で見ていたのは、学びたい内容を具体的に言えるか、という点でした。

大学の教育方針と本人の学びたい内容が重なっているかも見ていました。

大学名から考え始めるのではなく、学びたい内容から逆算する方法もあります。

志望理由書や面接の書き方・答え方には、ここでは踏み込みません。

その大学・学部を選ぶ理由が自分の中にあるかを、問い直してみてください。

一般選抜の勉強と両立できるか確認する

最後に確認したいのは、一般選抜の勉強と両立できるかです。

大学によっては、一般選抜との併願ができる方式があります。

「制度上併願できる」ことと「現実に両方の準備を続けられる」ことは別の問題です。

私が見てきた中では、並行して準備することで、次のようなケースがありました。

  • 書類や小論文、面接の準備で一般選抜の勉強が止まる
  • 出願後に気が緩み、一般選抜の学習量が落ちる
  • 不合格後に学習ペースを戻しにくくなる

もちろん、すべての受験生に起こるわけではありません。

大切なのは、総合型選抜の準備に使う時間を見積もったうえで、一般選抜の学習計画を維持できるかを考えることです。

制度上の違いだけでなく、両方を受験するときの準備方法まで確認したい方は、総合型選抜と一般選抜の違い|どっちが難しい?両立できる?で整理しています。

総合型選抜と一般選抜・推薦の違い

推薦の要否や出願時期、評価材料、併願可否を一覧で対比した主要3入試方式の比較表

総合型選抜、一般選抜、学校推薦型選抜は、推薦の要否や評価の材料、時期が異なります。

比較表で全体像をつかみ、そのうえで各方式との違いを見ていきます。

比較項目総合型選抜一般選抜学校推薦型選抜
推薦の要否学校長の推薦は原則不要。本人の意思で出願できる公募制学校長の推薦は原則不要出身高校の学校長の推薦が必要
出願時期9月1日以降大学・方式によって異なる11月1日以降
判定結果・合格発表11月1日以降大学・方式によって異なる。合格者の決定発表は3月31日まで12月1日以降。原則として一般選抜の試験期日の10日前まで
主な評価材料 志願者本人が記載する資料、書類審査、面接、小論文、口頭試問、 学力検査、大学入学共通テスト、資格・検定など 学力検査、小論文などを主な資料とし、大学によって調査書、 面接、本人が記載する資料なども組み合わせる 調査書、推薦書を主な資料とし、面接、小論文、口頭試問、 学力検査、大学入学共通テストなどを組み合わせる
学力の評価 出願書類だけでなく、学力検査・共通テスト・小論文等・資格検定等の所定の評価方法のうち、少なくともいずれか1つを活用して評価 学力検査や小論文などを主な資料として評価 調査書・推薦書だけでなく、学力検査・共通テスト・小論文等・資格検定等の所定の評価方法のうち、少なくともいずれか1つを活用して評価
併願専願・併願の扱いは大学・学部・方式によって異なる併願できる場合が多いが、各大学・方式の募集要項を確認 大学・方式によって異なる。入学の確約を求める方式もある

※文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」をもとに作成しています。 実際の出願条件・選考方法・併願条件・日程は、大学・学部・方式によって異なるため、 必ず最新の募集要項をご確認ください。

表のとおり、時期・評価の材料・併願の扱いがそれぞれ違います。

細かい条件は大学ごとに異なるため、志望校の募集要項と照らし合わせてください。

総合型選抜と一般選抜は評価方法が異なる

一般選抜は、学力検査や小論文などを主な資料とし、大学によっては調査書・面接・志願者本人が記載する資料なども組み合わせて評価します。

総合型選抜は、一般選抜とは異なる観点や方法で、書類審査や面接等を組み合わせて多面的・総合的に評価する方式です。

どちらも「得点だけ」「人物だけ」という単純な二項対立ではありません。

評価の中心に置かれる材料が違う、と捉えると整理しやすくなります。

学校推薦型選抜は学校長の推薦が基本

学校推薦型選抜は、出身高校の学校長の推薦書が出願の要件になる入試です。

調査書を主な資料として判定され、出願は11月1日以降です。

総合型選抜は、学校長の推薦を前提とせず、志願者本人の意思で出願できる公募制です。

学校推薦型選抜は、出身高校の学校長の推薦を受けることが前提になります。

学校推薦型選抜には、公募型や指定校推薦などがあり、いずれも学校長の推薦が必要です。

指定校推薦は校内選考から始まる

比較項目指定校推薦
(学校推薦型選抜・指定校制)
総合型選抜
出願対象 大学が指定した高校等に在籍し、推薦基準を満たしたうえで、 学校長の推薦を受ける生徒 大学・学部・方式が定める出願資格を満たす志願者。 本人の意思で出願できる公募制
出願までの流れ 高校内で推薦候補者の選考を受け、学校長の推薦を得たうえで大学へ出願 募集要項で出願資格を確認し、本人の意思で大学へ出願。 原則として学校長の推薦は必要ない
大学への出願時期 学校推薦型選抜の願書受付は11月1日以降。 校内選考の時期は高校によって異なる 願書受付は9月1日以降
指定枠・条件の確認方法 指定校になっているか、推薦枠や校内選考の基準などを 高校の進路指導担当の先生に確認する 大学が公表する募集要項で、出願資格・提出書類・選考方法などを確認する
大きな違い 指定された高校の生徒が対象で、大学への出願には学校長の推薦が必要 学校長の推薦を前提とせず、出願資格を満たせば本人の意思で出願できる

※文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」等をもとに作成しています。 指定校の有無、推薦人数、校内選考の時期・基準、出願資格などは 大学や高校によって異なるため、最新の募集要項と高校の進路指導担当者にご確認ください。

指定校推薦は、大学があらかじめ指定した高校の生徒だけが出願できる推薦です。

出願の前に、高校内で推薦候補者の選考が行われます。校内選考の時期や基準は、高校によって異なります。
校内選考を通過した人が、学校長の推薦を受けて大学に出願する流れです。

総合型選抜は、学校長の推薦を前提とせず、大学・学部・方式が定める出願資格を満たせば、本人の意思で出願できる公募制です。

指定校推薦との違いは、出願までの流れそのものにあります。

自分の高校に指定枠があるかどうかは、進路指導の先生に聞くのが確実です。

総合型選抜では何を見られる?主な選考方法

提出書類の精査から面接や小論文などの二次選考へと進む選抜ステップの解説図

総合型選抜では、書類、面接、小論文など、複数の材料を組み合わせて評価されます。

ここでは、それぞれが何を見るための材料なのかを整理します。

調査書・志望理由書などの出願書類

出願書類には、調査書、志望理由書、活動報告書、学修計画書などがあります。

調査書は、高校での学習や活動の記録です。志望理由書や学修計画書は、大学で何を学びたいのかを伝えるための資料です。

こうした書類は、実績を並べるためだけのものではありません。

高校での取り組みと、大学で学びたい内容につながりがあるかを見る材料になります。

志望理由書が800字指定の場合は、志望理由書800字の例文|構成・書き方・1000字との違いで、書き出しからまとめ方まで具体的に確認できます。

活動実績を整理して提出する方式では、総合型選抜の活動報告書の書き方|構成・例文・活動の選び方で、何を書くかを整理できます。

面接・小論文・プレゼンテーション

総合型選抜では、面接や小論文、プレゼンテーションなどが課される方式があります。

大学・学部によって、組み合わせは異なります。

選考方法内容の例
個人面接 志望理由や高校での活動、大学で学びたいことなどについて個別に質問を受ける
口頭試問 教科の知識や考え方、志望分野に関する内容などについて口頭で質問を受ける
集団討論
(グループディスカッション)
複数人で与えられたテーマについて議論し、 考え方や他者との関わり方などを評価される
小論文 課題文や指定されたテーマをもとに、自分の考えを文章で論述する
プレゼンテーション 大学から指定されたテーマや課題について、資料などを用いて発表する

※実施される選考方法や内容、評価基準は大学・学部・方式によって異なります。 必ず志望大学の最新の募集要項をご確認ください。

一覧のとおり、同じ総合型選抜でも、求められる力は方式ごとに異なります。

ここでは選考方法の全体像までにとどめます。

面接が課される方式なら、大学面接でよく聞かれる質問ランキングTOP20|回答例と深掘り対策で、質問への準備方法を確認できます。

プレゼンテーション選考がある場合は、総合型選抜プレゼンテーションの作り方|構成・原稿・スライド準備手順で、発表までの準備手順を確認できます。

学力検査・共通テスト・資格を課す場合もある

総合型選抜の中には、大学独自の学力検査や大学入学共通テスト、外国語の資格・検定を課す方式もあります。

国公立大学では共通テストを課す方式もあり、東北大学のAO入試Ⅲ期のように、大学入学共通テストを選考に用いる例があります。

「学力不要」という見方は当てはまらない場合があります。

国公立や難関大のすべてが課すと言い切ることもできません。

志望校の方式ごとに、募集要項で課される検査を見る必要があります。

アドミッション・ポリシーも確認する

アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)は、大学が求める学生像や、入学までに身につけておいてほしい知識・姿勢を示したものです。

選抜の物差しの1つであり、合否のすべてを決めるものではありません。

役に立つのは、志望理由とポリシーを突き合わせる使い方です。

自分が学びたい内容と、大学が示す方針がつながっているかを、ポリシーの文面を読みながら考えてみてください。

ずれが見つかった場合は、その大学・学部が自分に合っているかを問い直すきっかけにもなります。

総合型選抜に評定は必要?学力との違い

出願資格の基準値と試験当日に問われる思考力・学力検査の違いを整理した区分図

評定と学力は、総合型選抜で最も混同されやすい部分です。

出願条件としての評定と、選考で見られる学力は、別々に考える必要があります。

評定条件の有無は大学・学部で異なる

評定は、出願条件として基準が設定される場合があるほか、調査書を通じて評価材料になる場合もあります。
評定基準を設けている方式もあれば、設けていない方式もあります。

例えば、慶應義塾大学SFCの2026夏秋AO入試では、出願資格に評定平均の基準は設けられていません。※ただし、調査書自体は提出し評価対象となるため、評定が全く見られないわけではありません。

立教大学の自由選抜入試のように、学部・学科ごとに評定や英語資格などの条件を設けている入試もあります。

大学単位ではなく、学部・方式単位で見る必要があります。

具体的な条件は年度によって変わり得るため、最新の募集要項で確認してください。

評定が低めで不安な方は、総合型選抜は成績関係ない?評定が低い人の募集要項確認3ステップで、まず確認すべき条件を整理できます。

評定条件なしでも学力を見ないとは限らない

評定条件がないことと、学力を見ないことは別です。

出願時の評定を問わない方式でも、選考当日に小論文や総合問題、口頭試問などで、読解力や論述力、教科の基礎的な理解が問われることがあります。

評定を問わない分、選考内容で見られる材料が多い方式もあります。

「条件が緩い=簡単」と考えてしまうと、あとから選考内容を知って慌てる原因になります。

出願条件の欄と、選考方法の欄は、別々に読み取る習慣をつけておきたいところです。

評定や資格が高くても合格が決まるわけではない

私が実際に見てきた中には、高い評定や英語資格、活動実績があっても不合格になったケースがありました。
出願書類や面接を見ると、実績の説明に比べて、なぜその大学・学部で学びたいのかが十分に伝わっていないように見える例もありました。

大学の教育方針と本人が学びたい内容にずれを感じる例もありました。

これは個別の事例で、すべての受験生に当てはまる話ではありません。

評定や資格は出願条件を満たす強みにはなっても、それだけで合否が決まるわけではないと言えます。

実績の量だけでなく、実績と大学で学びたい内容がどのようにつながっているかも大切です。

総合型選抜の出願から合格までの流れ

初夏の募集要項確認から9月出願、秋の選考、11月合格までの年間スケジュール表

総合型選抜は、募集要項の入手から合格発表まで、時期のルールが一般選抜と異なります。

流れの全体像を押さえておくと、準備のタイミングを見誤りにくくなります。

募集要項で出願資格と選考内容を確認する

私の指導現場では、夏前から秋口にかけて、「総合型選抜を考えたいが、何から始めればよいか分からない」という相談が集中していました。

募集要項、志望理由書、面接準備の全体像がつかめていない受験生が多かったためです。

出発点は、模試の偏差値ではなく募集要項です。

次の3点を見ます。

  • 出願資格を満たしているか
  • どの提出書類が必要か
  • 選考日程はいつか

募集要項の公表時期は、大学・学部・方式によって異なります。

志望校の公式サイトで最新の公表時期を確認してください。

3点を押さえると、自分が出願できるのか、何をいつまでに準備すればよいのかが整理しやすくなります。

出願・選考・合格発表の時期を確認する

総合型選抜の時期は、大学・学部・方式によって異なります。

文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、総合型選抜の願書受付は9月1日以降、判定結果の発表は11月1日以降と定められています。

時期主な流れ確認すること
募集要項の公表後出願条件・選考方法を確認評定、資格・検定、提出書類、専願・併願条件など
出願前志望理由書などの提出書類を準備締切、必要書類、選考日程
9月1日以降入学願書の受付大学・学部・方式ごとの出願期間
出願後面接・小論文・プレゼンテーションなどの選考選考内容、試験日、持ち物など
11月1日以降判定結果の発表入学手続き期限、納付金、併願条件など

募集要項の公表時期や実際の選考日は、大学によって異なります。

「6〜7月に募集要項」「8月に書類準備」「10〜11月に選考」と一律に考えるのではなく、志望大学の最新の募集要項で日程を確認してください。

募集要項の確認から出願までをいつ始めればよいか迷う場合は、総合型選抜はいつから準備?募集要項から逆算する合格スケジュールで、準備の順番を確認できます。

専願・併願や合格後の条件を確認する

総合型選抜には、合格したら入学が前提となる専願の方式と、他大学や一般選抜と併願できる方式の両方があります。

募集要項では、次の点を確認します。

  • 専願か、併願できるか
  • 合格後の入学手続き期限
  • 入学金など納付金の扱い

「総合型選抜は専願が基本」と一括りにはできません。

専願か併願可かは、大学・学部・方式によって異なります。

併願できる方式でも、一般選抜の結果が出る前に入学手続きが必要になる場合があります。

出願前に、合格後の条件まで見ておくことが大切です。

一般選抜で厳しくても総合型選抜なら可能性はある?

学科試験の点数による序列化とは直交する総合型選抜の多面的な評価軸を示した概念図

「一般選抜では届かないかもしれない」と感じて、総合型選抜を考える方は少なくありません。

この章では、それが逃げなのか、どう判断すればよいのかを整理します。

偏差値だけで合否は判断できない

模試の偏差値は、教科の学力を測る指標です。

総合型選抜では、志望理由、探究や活動の内容、論述力、面接での受け答えなど、別の材料が評価に加わります。

評価の軸が違うため、偏差値が届かないから総合型なら簡単、とも、一般選抜より難しい、とも言い切れません。

一般選抜で届きにくいと感じている方でも、方式によっては学力検査や共通テストが課され、教科の学力が必要になることがあります。

偏差値だけで合否を予想せず、評価される材料と自分の状況を照らし合わせる、という見方が欠かせません。

総合型選抜は一般選抜とは別の入試方式

総合型選抜は、一般選抜からの逃げ道ではありません。

大学が用意した、別の評価方法による正規の入試です。

「一般選抜では厳しいから、総合型なら可能性があるか」という相談に対し、私が確かめていたのは次の3点でした。

  1. 選考に学力検査・共通テスト・小論文などが含まれているか
  2. その大学・学部で学びたい理由を、言葉にできるか
  3. 一般選抜の勉強時間を確保したまま、準備できるか

「楽そうだから」という理由だけで選び、小論文や学力評価の条件をあとから知るのは、避けたい進め方です。

逆に、3点がそろうなら、罪悪感を持つ必要はありません。条件で判断すれば足ります。

自分の現状をもう少し具体的に整理したい場合は、総合型選抜可能性診断チェック表|4段階でわかる強み・不足点と次の準備で、強みと不足している準備を確認できます。

総合型選抜を検討しているものの、「自分に合う方式が分からない」「何から準備すればよいか不安」という方は、総合型選抜対策を専門とするホワイトアカデミー高等部の無料相談で確認する方法もあります。

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【Q&A】総合型選抜で残りやすい疑問

国公立大の実施状況、浪人生の出願資格、検定資格の要否を簡潔にまとめたQ&A図解

本文を読んでも残りやすい、例外や個別確認の疑問をまとめました。

Q. 国公立大学にも総合型選抜はありますか?

A. あります。

文部科学省の令和8年度の調査では、国公立大学の約89.9%(161大学)、学部の約90.2%(577学部)が総合型選抜を実施しています。

東北大学、筑波大学、大阪大学、九州大学などでも導入されています。

同じ令和8年度の国公立大学全体の募集人員に占める総合型選抜の割合は7.7%(10,063人)です。

実施大学は多いものの、募集枠全体では一般選抜より小さい割合です。

共通テストを課す方式もあるため、志望校の方式を個別に見る必要があります。

Q. 浪人生でも総合型選抜を受験できますか?

A. 大学・学部・方式によって異なります。

募集要項の出願資格に「高等学校を卒業した者」とあれば、既卒生も出願できます。

卒業後の年数に制限を設ける大学や、現役生に限る方式もあります。

出願資格の文言を確認し、自分の卒業年度が条件に入っているかまで読み取る必要があります。

Q. 資格や検定がなくても受験できますか?

A. 資格・検定が必須かどうかは、方式によって異なります。

英検などの資格がなくても出願できる方式はあります。

「英語資格利用型」のように、一定のスコアが出願要件に入っている方式には出願できません。

募集要項の出願要件で、資格の指定があるかどうかを切り分けて読みましょう。

まとめ:総合型選抜とは?

総合型選抜の正確な定義と募集要項を確認するための重要ポイントをまとめた総括図

ここまでの内容を整理し、次に取る行動までをまとめます。

総合型選抜で押さえるべきポイント

総合型選抜は、書類、面接、小論文、学力評価などを組み合わせて、多面的に評価する入試です。

学力を見ない簡単な推薦入試ではなく、大学・学部・方式によって出願条件も評価方法も異なります。

旧AO入試の後継であり、2027年度入試では原則として面接による評価が求められますが、面接だけで決まるわけではありません。

一般選抜とは評価の中心になる材料が違い、学校推薦型選抜とは、学校長の推薦書が必要かどうかで分かれます。

評定条件の有無と、学力評価の有無は、別の項目として見る必要があります。

迷ったら4つの判断軸で確認する

迷ったときは、志望大学の募集要項を手元に置き、次の4つに当てはめてみてください。

  1. 出願条件:評定、検定、卒業年度などを満たしているか
  2. 選考方法:小論文、面接、学力検査、共通テストなど、課される内容に対応できるか
  3. 志望理由:その大学・学部で学びたい理由を、偏差値以外の言葉で説明できるか
  4. 一般選抜との両立:書類作成や面接準備に時間を使っても、一般選抜の学習計画を保てるか

私なら、この4つを1つずつ書き出してから、受けるかどうかを決めます。

簡単か難しいかではなく、条件と選考方法に自分が合うかどうか。その視点で募集要項を読み進めれば、次の一歩が見えてきます。

必要な対策が整理できても、自分だけで準備できるか迷う場合は、総合型選抜で塾に行くべき?学校だけで十分?5項目診断チェックで、外部サポートが必要か確認できます。

執筆者プロフィール

文系科目担当の編集員 桐生智花

※この記事は、総合型選抜・学校推薦型選抜に精通した神崎悠真が執筆しています。志望理由書や自己PR、活動報告書、面接、小論文など、出願から選考までに必要な対策について調査・分析した知見を記事に反映しています。

神崎悠真は、総合型選抜・学校推薦型選抜を中心に、大学ごとの入試制度や選考方法、出願書類、面接・小論文対策などの情報を整理・分析しています。受験生が「何を、いつまでに準備すればよいのか」を具体的に判断できる、わかりやすく実践的な情報提供を心がけています。

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