小論文「課題文型」の書き方|設問別の構成・要約・例文

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課題文型小論文で悩みやすいのが、段落数や要約の分量、そして筆者への賛成・反対です。
ネットで調べるほど情報がバラバラで、どれが正しいのか分からなくなることもあります。
先に段落数や賛否の形を決めてしまうと、かえって設問とずれた答案になりやすくなります。
この記事では、設問の読み方から構成の決め方、実際によくある失敗、600字の完成例文までを順番に解説します。
記事のポイント
- 段落数や賛否は問題に合わせて決めるのが正解
- 設問の言葉遣いから書くべき内容を3つに見分ける
- メモを作ってから書く5つの手順で失敗を防ぐ
- 実際の答案例で要約と自分の意見のつなぎ方がわかる
まず結論|課題文型は設問に合わせて書き方を決める

課題文型小論文には、あらゆる問題に共通する唯一の正解フォーマットはありません。
段落数や賛否の有無は、設問が何を求めているかで変わります。
課題文型小論文とは何か
課題文型小論文とは、与えられた文章を読み、その内容を踏まえて設問に答える形式の小論文です。
まずは、課題文型の特徴を簡単に整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 定義 | 与えられた課題文を読み、その内容を踏まえて設問に答える小論文形式 |
| 読み取ること | 筆者の主張・理由・論点 |
| テーマ型との違い | 自由に意見を書くのではなく、課題文と設問の条件に沿って論じる |
| 答案の基本 | 設問の要求を確認し、課題文の要点と自分の考えを整理して書く |
文部科学省の令和9年度大学入学者選抜実施要項では、小論文などを、受験生が自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力や、その過程・結果を的確に表現する能力などを多角的に評価するために活用することが望ましいとされています。
課題文型小論文では、感想文のように思ったことを自由に書けばよいわけではありません。
課題文から筆者の主張や論点を読み取り、設問が何を求めているのかを確認したうえで、自分の考えを論理的に組み立てる必要があります。
最初に押さえておきたいのは、「何を書きたいか」よりも「設問は何を求めているか」を先に確認することです。
小論文全体の基本的な書き方や構成メモの作り方は、別記事「小論文の書き方|高校生が迷わない6ステップと構成メモ」で解説していますので、あわせて確認してみてください。
要約や賛成・反対は必須ではない
結論から言うと、要約も賛成・反対の明示も、すべての課題文型に共通して必要なわけではありません。設問の指示によって、書くべき内容が変わります。
推薦入試から一般選抜・国公立大学の2次試験まで、法学部や経済学部、看護・医療系、総合政策系など幅広い学部の課題文型小論文を添削してきましたが、「小論文だから賛否を決めなければ」「課題文があるから要約から書き始めなければ」と思い込み、設問の要求とずれた答案になってしまうケースを繰り返し見てきました。
設問に「賛否を明らかにして論じなさい」とあれば立場を決める必要がありますが、「あなたの考えを述べなさい」「対策を論じなさい」という設問では、賛成・反対の二択を作る必要はありません。
要約についても同様で、「要約した上で」と明示されていなければ、答案の中で独立した要約段落を長く書く必要はないと考えています。
段落数は字数と設問のタスクで決める
「600字なら3段落」「800字なら4段落」といった段落数の目安をよく見かけますが、これは絶対のルールではありません。
生徒には、段落数を先に決めるのではなく、指定字数と設問が求めているタスクの数から、必要な段落数を逆算するという考え方で説明してきました。
例えば同じ800字でも、設問が「課題の指摘」「理由」「解決策」の3つを求めていれば、それに応じた段落構成になりますし、求めるタスクが少なければ、もっと少ない段落でまとまることもあります。
重要なのは「何段落にするか」ではなく、「各段落にどんな役割を持たせるか」です。
段落数を先に固定して考える必要はありません。
自分の見解を求める設問は3タイプに分けて判断する

課題文型のうち、自分の考えや見解まで求められる設問について、私は指導では大きく次の3タイプに整理していました。
「課題文を要約しなさい」「筆者の主張を説明しなさい」のように、課題文の内容整理だけを求める設問は、この3タイプとは分けて考えます。
| 設問タイプ | 設問末尾の表現例 | 答案で書くこと | 賛否表明の要否 |
|---|---|---|---|
| 賛否型 | 「筆者の意見への賛否を明らかにし、理由を述べよ」 | 自分の立場と、それを支える理由 | 必要 |
| 見解提示型 | 「あなたの考えを述べよ」「今後の対策を論じよ」 | 問題の分析と、自分なりの考えや対策 | 不要 |
| 関係性説明型 | 「筆者の主張を踏まえ、〇〇について論じよ」 | 課題文の論点を踏まえた自分の考察 | 原則不要 |
この3タイプは、答案の方向を判断するために指導現場で使ってきた整理です。
志望校の設問がどのタイプに近いかを確認する目安として使ってください。
賛否型|賛成・反対を明確にする
賛否型は、筆者の主張に対して立場を決め、その立場を支える理由を組み立てるタイプです。
賛否型の形式では、答案の早い段階で自分の立場を確定させる必要があります。
賛否型では、自分の立場を決めたあと、反対側からどのような反論が出るかも考えておくと、自分の理由の弱い部分を確認しやすくなります。
自分の理由だけを並べると、論拠が一方的になりやすいためです。
賛否型では、立場の表明と、反対意見への目配りをセットで考えると答案が安定します。
見解提示型|自分の考えや対策を書く
見解提示型は、課題文が示す社会的な問題や学術的な課題に対して、自分の考えや対策を求めるタイプです。
ここで賛成・反対の形にこだわる必要はありません。
見解提示型の形式で書くべきなのは、現状の分析、課題の本質の特定、そして具体的な提案という流れです。
指導では、「賛成・反対を無理に作ろうとすると、かえって論点がずれる」と伝えていました。
見解提示型では、賛否ではなく、問題をどう捉え、どう答えるかが軸になります。
関係性説明型|筆者の主張を踏まえる
関係性説明型は、課題文で示された筆者の主張や概念を土台として、別の事象や現代社会との関係を論じさせるタイプです。
筆者への賛否を決めることが目的ではなく、課題文の論点をどう発展させるかが問われます。
関係性説明型の型では、課題文の核心的な主張を正確につかんだうえで、それをどこまで自分の視点で広げられるかが、答案の中身を左右します。
単に言い換えるだけでなく、そこから一歩踏み出した考察が必要だと考えています。
設問タイプを見分けられれば、賛否を無理に作る必要があるかどうかも判断できます。
課題文型小論文の書き方|5段階で答案を作る

課題文型は、いきなり書き始めると論点がずれやすい形式です。
指導では、次の5段階に分けて取り組ませていました。
- 設問分析:設問の要求・字数・条件を確認する
- 課題文読解:筆者の主張と根拠を整理する
- 構成メモ:要点・自分の意見・根拠を書き出す
- 執筆:構成メモに沿って書く
- 見直し:設問に答えられているか確認する
Step1|設問を読み答案のゴールを決める
最初に行うのは、課題文を読むことではなく、設問を確認することです。
指導では、課題文を読む前に設問を丁寧に読み、何を答える問題なのかを先に整理させていました。
設問では、次の4点を確認します。
- 指定字数はいくつか
- 要約の指定があるか
- 「賛否を述べよ」「考えを述べよ」など、何を求められているか
- 具体例や理由など、答案に含める条件があるか
先にこの4点を確認しておくと、課題文のどこに注目して読めばよいかが明確になります。
反対に、設問を確認せずに課題文から読み始めると、内容を理解することに意識が向きすぎて、「結局、何について答える問題なのか」が曖昧になりやすくなります。
設問から、答案のゴールを決めてから課題文を読むことを意識してください。
Step2|筆者の主張と根拠を読み取る
設問を確認したら、課題文を読みながら、筆者の主張とそれを支える根拠を分けて整理します。
読むときは、特に次の3点に注目してください。
- 筆者が最も伝えたい結論は何か
- その結論を支える理由や具体例は何か
- 「しかし」「だが」「つまり」など、論理の転換やまとめを示す表現はどこか
評論文では、逆接のあとや段落の終わりに、筆者の重要な主張が置かれていることがあります。
課題文のすべてを細かく理解しようとするより、まずは設問に関係する筆者の結論と、その理由を1〜2文で説明できる状態を目指してください。
細部に時間をかけすぎず、最初に文章全体の骨格をつかむことが大切です。
Step3|課題文型の構成メモを作る
課題文を読んだら、原稿用紙にすぐ書き始めるのではなく、構成メモを作る工程を挟みます。指導では、この工程を特に重視していました。
構成メモには、課題文の要点、自分の立場や見解、それを支える理由や具体例を箇条書きで書き出します。
60分・800字を想定した場合、設問分析と読解に15分、構成メモの作成に10分ほどを充てる時間配分を、一つの目安として使っていました。
- 設問分析・課題文読解:15分程度
- 構成メモの作成:10分程度
- 執筆:30分程度
- 見直し:5分程度
課題文型でも、いきなり答案を書き始めるのではなく、筆者の要点・自分の意見・理由や根拠を整理してから文章にすると論点がずれにくくなります。
構成メモの基本的な作り方から確認したい場合は、高校生向けの小論文の書き方6ステップと構成メモで、書く前に考えを整理する流れを確認できます。
Step4|構成メモに沿って答案を書く
構成メモができたら、そこに書いた内容を順番に文章へ落とし込んでいきます。
書くときは、次の3点を意識してください。
- 構成メモで決めた順番を崩さない
- 執筆中に新しい論点を増やさない
- 各段落の役割から外れない
指導では、書きながら思いついた内容を追加すると、前後の論理がつながらなくなることがあるため、まずは構成メモの骨子に沿って書き切るように伝えていました。
新しいアイデアを入れたくなっても、その場で広げるのではなく、まず答案全体を完成させます。
そのうえで、最後の見直しで必要な修正を加える方が、論点のずれを防ぎやすくなります。
「書きながら考える」のではなく、「考えた内容を書く」という意識を持つことがポイントです。
Step5|設問に答えたか見直す
書き終えたら、最後に「設問にきちんと答えられているか」を確認します。
見直しでは、次の4点をチェックしてください。
- 設問で求められた内容をすべて書けているか
- 指定字数を大きく下回っていないか
- 筆者の意見と自分の意見が混ざっていないか
- 各段落の内容が、最初に決めた構成メモから大きくずれていないか
字数を満たしていても、設問への回答が不足していれば十分とはいえません。
指導では、最後にもう一度設問文へ戻り、「この答案は、設問に対する答えになっているか」を確認させていました。
誤字脱字だけでなく、設問とのズレがないかまで確認して見直しを終えます。
課題文型の構成と要約は設問・字数から決める

要約をどこまで書くか、段落にどんな役割を持たせるかは、多くの受験生が迷うポイントです。
ここでは、設問と字数を基準にした考え方を整理します。
要約を書くかどうかは設問で判断する
課題文を理解するために頭の中で行う要約と、答案として原稿用紙に書く要約は、別のものとして考える必要があります。
設問に「要約した上で」という明示的な指示がある場合は、その通りに書きますが、指示がない「課題文を踏まえて述べよ」という一体型の設問では、独立した要約段落を長く書く必要はありません。
課題文の内容を答案に反映させる方法は、要約だけではなく、必要な箇所を短く触れる形でも十分です。
設問に要約の指示があるかどうかを、最初に確認しておくとよいと考えています。
要約と自分の意見は設問指定を優先する
要約と自分の意見の分量については、指導の中で「要約2〜3割・自分の意見7〜8割」を一つの目安として使ってきました。
ただし、これは固定ルールではありません。
設問に「課題文を200字で要約し、自分の考えを400字で論じなさい」のように、要約と見解の字数が分けて指定されている場合は、その条件を優先してください。
目安と設問の指定が食い違うときは、必ず設問の指定が優先されます。
段落ごとに役割を1つ決めて構成する
段落を設計するときに意識したいのは、1つの段落に複数の役割を詰め込まないことです。
要約と反論、具体例が同じ段落に混在すると、読みづらい答案になります。
指定字数と段落数の関係は、次のような形を一つの目安として考えることができます。
| 指定字数 | 段落数の目安 | 各段落の主な役割 |
|---|---|---|
| 600字 | 3段落程度 | 課題文の整理と自説提示/理由・具体例/結論 |
| 800字 | 4段落程度 | 課題文の整理/自説の理由・分析/具体策や反論への対応/結論 |
| 1000字以上 | 4〜5段落程度 | 複数の視点からの考察を段落ごとに分けて展開 |
この表はあくまで目安であり、設問が求めるタスクの数によって、同じ字数でも段落数が前後することがあります。
段落数を先に決めるのではなく、「この段落は何を説明するための段落か」を一つずつ決めてから書き始めると、論点がぶれにくくなります。
課題文型でも、段落数を先に決めるのではなく、要約・自分の意見・根拠など答案に必要な役割を整理してから分けることが大切です。
実際にどこで段落を切ればよいか迷う場合は、小論文の段落をどこで分けるか判断する3つの基準で、話題・役割・文字数や設問から判断する方法を確認できます。
課題文型の例文|設問から600字答案を作る

設問文から完成答案までの流れを、実際の例で追ってみます。
設問から答案に必要なタスクを抜き出す
ここでは、次の設問を例に考えます。
「課題文を踏まえ、情報技術の発展がもたらす人間関係の変化について、あなたの考えを600字以内で述べよ」
この設問には「賛成・反対を明らかにする」という指示がないため、見解提示型として考えます。
まず、設問から答案に必要な内容を抜き出します。
- 課題文の内容を踏まえる
- 情報技術の発展による「人間関係の変化」について論じる
- その変化について自分の考えを示す
- 600字以内にまとめる
ここで大切なのは、設問に書かれていない条件を自分で増やさないことです。
例えば、「メリットとデメリットを両方書く」「解決策まで書く」といった内容は、この設問では必須とは限りません。
まずは設問に明記されているタスクを正確に拾うことが、論点のずれを防ぐ第一歩です。
課題文から筆者の主張と要点を拾う
次に、設問に関係する筆者の主張を課題文から拾います。
例えば、課題文で筆者が次のように述べていたとします。
「デジタルコミュニケーションは意思疎通を便利にした一方で、表情や声の調子から相手の気持ちを読み取る機会を減らしている」
この場合、確認したいポイントは次の3つです。
- 筆者の主張:デジタル化によって意思疎通は便利になった
- 筆者が指摘する問題:表情や声などから相手の気持ちを読み取る機会が減っている
- 中心となる論点:利便性が高まる一方で、人との関わり方が変化している
課題文を読むときは、すべての内容を同じ重さで覚える必要はありません。
「しかし」「一方で」「つまり」など、話の方向が変わる表現にも注目しながら、設問に関係する筆者の結論と、その理由を短く整理することを優先します。
この例であれば、「デジタル化は便利だが、人間関係には別の影響も生じている」という骨格をつかめれば、次の構成メモにつなげやすくなります。
要約・自分の意見・根拠をメモにする
課題文の要点を確認したら、原稿用紙に書く前に構成メモを作ります。
先ほどの設問であれば、次のような配分のメモが一例として考えられます。
- 第1段落メモ:課題文の要点(約120字)+自分の立場の提示(約40字)
- 第2段落メモ:自分の意見を支える理由や分析(約240字)
- 第3段落メモ:具体的な考えと結び(約160字)
このメモの段階で、要約に使う文字数と自説に使う文字数のバランスを一度確認しておくと、書き始めてからの手戻りが減ります。
600字の例文と構成の理由を確認する
構成メモができたら、それに沿って答案を文章化します。
ここでは、編集部が作成した練習用の課題文と設問をもとに、先ほど整理した「設問分析→要点整理→構成メモ」を、実際の答案に落とし込んでみます。
以下は、600字以内でまとめた答案例です。各段落の役割が分かるよう、注釈を付けています。
【第1段落:課題文の要点+自分の立場】
筆者は、デジタル技術の発展によって意思疎通が効率化する一方、表情や声の調子といった非言語的な情報を読み取る機会が減り、共感が弱まる可能性を指摘している。私は、デジタル技術の利便性を生かしながらも、対面で相手の反応を確かめる機会を意識して残すことが必要だと考える。人間関係は、情報を正確かつ迅速に伝えることだけで成り立つものではなく、相手の気持ちや迷いをくみ取ることで深まるからである。
【第2段落:理由+具体例】
例えば、文字だけのやり取りでは、相手が困っていても、その様子やためらいに気づきにくい。短い返信が続いた場合でも、忙しいだけなのか、不安を感じているのかは文章だけでは判断しにくい。一方、対面であれば、表情や声の変化、返答までの間から、言葉には表れない感情を読み取れることがある。デジタル技術には、遠く離れた人ともすぐにつながれ、必要な情報を短時間で共有できる利点がある。しかし、効率だけを優先すると、相手の状況を丁寧に理解する機会まで失うおそれがある。
【第3段落:結論】
したがって、重要なのはデジタルか対面かのどちらか一方を選ぶことではなく、目的に応じて使い分けることである。急ぎの連絡にはデジタル手段を活用し、不安や悩みを抱えている相手と向き合う場面では、直接話す時間を設けるべきだ。技術の便利さを生かしつつ、人との関係に必要な共感を補う工夫を続けることが、これからのコミュニケーションには求められる。
この答案では、第1段落で課題文の要点を簡潔に整理し、そのまま自分の立場につなげています。
第2段落では、なぜそう考えるのかを具体例を使って掘り下げ、第3段落で「では、どうすべきか」という結論に戻しています。
ポイントは、最初から「3段落で書く」と決めたのではなく、設問で求められている内容を整理した結果として、3つの役割に分かれていることです。
課題文の説明だけで字数を使い切らず、自分の理由や具体例、結論に十分な分量を使っています。
書き終えたら、課題文の要約に偏っていないか、自分の考えと根拠が十分に書けているかを確認してみてください。
※「第1段落」「第2段落」「第3段落」の注釈は構成を説明するためのもので、実際の試験答案には書きません。
実際の書き出し部分でさらに迷う場合は、別記事「小論文の序論・書き出しで迷わない!最初の一文を決める3手順と例文」も参考にしてください。
27年間の添削指導で多かった課題文型の3つの失敗

課題文型では、内容そのものよりも「書き方の癖」で減点されるケースが目立ちます。
ここでは、実際の添削でよく見られた3つの失敗を紹介します。
| 失敗パターン | 典型的な症状 | 直し方 |
|---|---|---|
| 課題文まとめ型 | 字数の半分以上を課題文の言い換えに使い、自説が最後の数行しかない | 要約は全体の2〜3割程度に抑え、残りを自説の論証に使う |
| 課題文無視型 | 課題文中の特定の単語だけに反応し、準備していた持論をそのまま書く | 課題文の論点と設問の要求を確認し、自分が答える問いを1文で決める |
| 主述混同型 | 筆者の意見か自分の意見か、文末だけでは判別できない | 「筆者は〜と指摘している」と「私は〜と考える」を明確に分ける |
課題文まとめ型|要約が多く自説が少ない
課題文まとめ型は、課題文の内容を丁寧に言い換えることに力を入れすぎて、自分の考察が最後の一文程度で終わってしまう答案です。
私が添削してきた中でも、比較的よく見られる失敗の一つでした。
字数の大半が課題文の言い換えで占められると、受験生本人の論理構成や根拠の示し方を答案の中で表せなくなります。
要約は全体の2〜3割程度を目安に圧縮し、その分を自分の考えの論証に回すという意識が有効だと考えています。
課題文無視型|論点を外れて持論を書く
課題文無視型は、課題文に出てくる特定の単語だけに反応し、事前に準備していた持論をそのまま展開してしまう失敗です。
課題文の文脈や問題意識を踏まえずに書かれた答案は、設問の要求とかみ合わなくなります。
この失敗を防ぐには、書き始める前に、課題文の論点と設問が何を求めているかを確認し、自分がその設問に対して何を答えるのかを一文で決めておくことが助けになります。
準備していた知識や意見をそのまま流用するのではなく、課題文の論点と結びつける作業を挟むことを意識してください。
主述混同型|筆者と自分の意見が混ざる
主述混同型は、文末表現や主語の使い分けが曖昧で、書かれている意見が筆者のものか自分のものか、読み手に伝わらなくなる失敗です。
この失敗を避けるには、「筆者は〜と指摘している」「筆者の主張は〜である」という客観的な記述と、「これに対し私は〜と考える」という主観的な記述を、文末まで含めてはっきり分けることが有効です。
私が添削の際に確認していたのも、この客観と主観の境界がどこにあるかという点でした。
大学入試の過去問で課題文型の出題を確認する

ここまでの考え方は、そのまま志望校の過去問を確認するときにも使えます。
過去問を確認する際に見るべきポイントを整理します。
設問末尾から何を求める問題か確認する
過去問を確認する際は、まず設問の末尾にある要求動詞に注目してください。
「説明しなさい」「まとめなさい」であれば、自分の意見よりも課題文の内容整理が中心になりますが、「あなたの考えを論じなさい」であれば、自分の見解を展開することが求められます。
同じ課題文を読んでいても、末尾の要求によって書くべき内容がまったく異なります。
過去問を開いたら、本文よりも先に設問の末尾を確認する習慣をつけておくと、読解の方向を誤りにくくなります。
要約指定・字数・論述内容を確認する
過去問を開いたら、課題文を読む前に次の項目を確認してください。
- □ 設問は何を求めているか(要約・説明・賛否・見解提示・関係性説明など)
- □ 要約の指定はあるか
- □ 指定字数はいくつか
- □ 具体例や体験談などの条件はあるか
この項目は、過去問を解き始める前のチェックとして使うことができます。
志望校の過去問を数年分見て、これらがどう変化しているかを確認しておくと、本番での対応力が上がります。
年度ごとの設問の違いも確認する
同じ大学・学部であっても、年度によって出題形式が変わることがあります。
ある年は要約と自説を求める形式でも、別の年は複数の課題文を比較させる形式になるといった変化は珍しくありません。
こうした変化があるため、「この大学はいつも3段落構成でよい」というように、過去に見た1年分の形式だけで型を固定してしまうのは避けたほうがよいと考えています。
過去問は複数年分を確認し、共通する部分と変化する部分の両方を把握しておくことをおすすめします。
自分で小論文を書いても、「この構成でよいのか」「設問にきちんと答えられているのか」は判断しにくいものです。
過去問は、出題形式を確認するだけでなく、自分に足りない力を見つけて次の練習につなげることが大切です。
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【Q&A】課題文型小論文でよくある質問

課題文型小論文の対策を進める中で、受験生が特につまずきやすい疑問を厳選しました。
引用のルールや読解のコツ、過去問の使い方など、本番直前の迷いや不安を解消する実践的なヒントをQ&A形式で解説します。
Q. 課題文は答案で引用したほうがよいですか?
A. 引用そのものが目的ではないため、必要最小限にとどめてください。
課題文の引用は禁止されているわけではありませんが、引用部分も指定字数に含まれます。
長い引用を入れること自体が目的ではありません。
設問に必要な内容を自分の言葉で整理し、どうしても原文の表現が必要な場合だけ、かぎかっこでくくって短く引用してください。
設問への回答を主軸に置き、引用は補足として使う意識を持つと安心です。
Q. 課題文を全部理解できないと書けませんか?
A. 課題文のすべてを完全に理解できていなくても、答案は作成できます。
課題文には難解な表現が含まれることもありますが、設問に関わる筆者の主たる主張と、それを支える根拠の骨格をつかめていれば、答案は十分に組み立てられます。
細部にこだわりすぎるより、設問に必要な部分を優先して読む姿勢のほうが実践的です。
Q. 模範解答はそのまま型として覚えてよいですか?
A. 完成した文章をそのまま覚えるより、設問から構成を考える過程を身につけるほうが有効です。
大学入試で評価されるのは、思考の過程を自分の言葉で表現する力です。模範解答の文章を丸暗記していても、設問の指示や条件が少し変わるだけで対応できなくなることがあります。
模範解答は、どのように設問を分解し、どういう順序で構成を決めているのかを確認するための教材として使うことをおすすめします。
Q. 過去問と参考書はどちらを優先しますか?
A. まずは志望校の過去問を確認し、参考書はその不足を補う形で使うとよいと考えています。
小論文は大学・学部によって、要約の有無や指定字数、課題文の分野などの出題形式が異なることが多くあります。
そのため、一般的な参考書から先に取り組むよりも、志望校の過去問数年分を見て、出題形式や条件の傾向をつかむことを優先してください。
そのうえで、書き方の基本や背景知識が不足している部分を参考書で補い、直前期には再び過去問での演習に戻るという進め方が実践的です。
課題文型の対策では志望校の過去問を軸にし、読解・要約・構成など不足している力を補うために参考書を使うと学習目的が明確になります。
補助教材を選ぶ場合は、初心者向けの小論文参考書の選び方と学習ルートで、自分の段階に合う参考書を確認できます。
まとめ:小論文「課題文型」の書き方|設問別の構成・要約・例文

課題文型小論文の書き方を、最後に整理します。
課題文型小論文の重要ポイント
課題文型で最初に行うべきことは、課題文を読むことではなく、設問の要求を確認することです。
自分の見解を求める設問では、設問末尾の表現から、賛否型・見解提示型・関係性説明型のどれに近いかを判断し、そのうえで筆者の主張と根拠を読み取ります。
段落数や要約の分量は、固定の型として覚えるものではなく、指定字数と設問が求めるタスクの数から逆算して決めるものです。
要約2〜3割・自説7〜8割という比率も、設問に具体的な指定がない場合の目安にすぎません。
答案を書く際は、設問分析→課題文読解→構成メモ→執筆→見直しという流れを意識し、原稿用紙にいきなり書き始めないことが、論点のずれを防ぐ助けになります。
迷ったときの判断基準と次の行動
書き方に迷ったときは、「何段落が正しいか」ではなく、「この設問は何を求めているか」に立ち返って考えてください。
設問の要求動詞、指定字数、要約や具体例に関する条件の3つを確認すれば、答案の方向は自然と定まってきます。
志望校の過去問を1題開き、設問末尾がどのタイプに当たるかを判定し、答案に必要なタスクを書き出すところから始めてみてください。
そのうえで課題文を読み、構成メモを作ってから答案に取りかかると、これまでより設問とずれの少ない答案が作りやすくなるはずです。
執筆者プロフィール

※この記事は、大手個別指導塾で27年間、小学生・中学生の学習指導や進路指導に携わってきた「予備校オンラインドットコム」編集長・橘誠一郎が執筆しています。長年の教育現場で培った経験と知見をもとに、記事内容をわかりやすくお伝えしています。
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